来年度の大学入試について

公開日 2020/02/26

国公立大学個別試験前期の一日目が終わりました。
この記事を書いているのは二日目の試験が行われている頃です。
これはすなわち、現在の高校2年生は受験まで一年を切っているということです。

一年間は52週間あります。
仮に7科目、すべて均等に時間を割り振って勉強するとすれば、一科目に費やせる時間は7週間です。意外と時間は少ないことが分かると思います。

さて、来年から始まる大学入学共通テストですが、
大きく変わる点が一つあります。
それは、英語のリスニングの配点です。
従来のセンター試験では、文法・読解問題がある「筆記」が200点、聞き取りの「リスニング」が50点と、4:1の配点比でした。
新しい共通テストでは、これが「筆記」100点、「リスニング」100点の1:1に変更されます。
リスニングの割合がかなり大きくなるんですね。

これでリスニングの対策めっちゃしないといけない!って騒がれるわけなんですが、そこでふと思い出しました。国立大学の行動傾向を。
それで調べてみたんですが、ありました。↓

2021 年度(令和 3 年度)東京大学入学者選抜(一般入試) に関する予告について
このpdfの抜粋↓

2021 年度(令和 3 年度)の大学入学共通テストでは,英語は「リ ーディング」100 点と「リスニング」100 点,計 200 点満点を次のと おり換算して利用します。 《 「リーディング」140 点満点 「リスニング」60点満点

この他、ざっと調べた結果、現時点では大阪大・東北大・名古屋大が150:50の配点にすると発表しています。

そもそも、大学は研究機関であるので論文を読み書きできるようになる人を欲しています。学術論文はほぼすべて英語で書かれるものなので、英語が読めない人は研究が進みません。ということは、聞く力を問うよりも、読む力を問いたいと考えるのは当然です。だからリスニング重視の配点にしたくないのだろうと考えます。

まだ発表していない大学が多いですが、おそらく国公立大学の特に入学難度が高い大学ほどこういう傾向になると予想しています。
一方で私立大学はいわゆる4技能すべてを重視する傾向にあるでしょう。

志望校の方針を調べ、早めに対策していきましょう。

知彼知己、百戰不殆。

国公立大個別入試まで2週間、
公立高校入試まで4週間となりました。
受験生は残された時間で何をすべきか、焦らず、優先順位を考えて勉強しましょう。

タイトルですが、
見たことあるでしょうか。
中国の兵法書「孫子」の一節です。

知彼知己、百戰不殆。
不知彼而知己、一勝一負。
不知彼不知己、毎戰必殆。

彼を知り己を知れば、百戰殆(あや)ふからず。
彼を知らずして己を知れば、一勝一負(いっしょういっぷ)す。
彼を知らず己を知らざれば、戰ふ毎に必ず殆ふし。

と読みます。
一解釈としては、
「敵を知り、味方の戦力などを把握していれば、百回戦ってもほとんど負ける心配がない。味方のことを知っているが敵のことを知らなければ、勝つか負けるかわからない。敵のことも味方のことも知らなければ、戦いの度に負ける心配がある。(ほぼ負ける)」

これを受験に当てはめて考えてみましょう。

ほとんどの人は敵を知らない

敵を知る、とはどういうことか。
それは、行きたい学校があったとして、

●どのようにすれば入学できるのか?
●試験科目、その配点・難易度は?
●どのレベルの生徒が受験するのか?

これらを知っておくのは当たり前だと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし実際のところ、例えば高校3年生の1月、つまりセンター試験の直前であっても、自分が受験する予定のある大学入試の配点を知らないなんてことは
ザラにあります。(本人はいい加減にやろうとしているわけでもなく)
これでは半分ギャンブルをしに行っているようなものですよね。

己を知る、とはどういうことか。

●自分の得意または不得意な科目・単元は何か?
●自分の性格特性は?
●自分にとって最適な生活リズムは?

など、たくさんあるでしょう。もちろんこれらを知るだけではいけませんよね。
そこから学習計画を練ったり、学習がしやすくなる工夫をしていきます。
しかし、その前に大事なことが一つあります。

自分を受け入れる、ということです。
一番難しいと思います。
良いと思うところ、悪いと思うところ、いろいろあるでしょう。
その両方を受け入れないと先には進めません。
「ここは点が取れるはずだった。」
ではありません。
「点が取れなかった。」
です。
「他の人より出来た」ところはあなたの強みです。
さらに伸ばしてください。

残り時間をどう使うか

公開日 2020/01/22

センター試験、私立高校入試お疲れさまでした。
伸びた人も思うようにいかなかった人も、きちんと結果を受け入れましょう。
そして、次に何をするべきなのか考えてください。
わからないことは聞きに来てください。

国公立大学の個別試験まで、34日です。
5週間です。
短い期間ですが、この使い方次第で明暗を分けると言っても過ぎないでしょう。
ほんの少しの差が命取りです。
まずは下の合否人数の分布を見てください。
2019年の九州大・経済学部を例にします。

2019九州大合否分布
2019データネット  https://dn-sundai.benesse.ne.jp/dn/dn2019/doukou/nankan/index.html

合格可能性
A…80%以上
B…60%以上
C…40%以上
D…20%以上

表の見方は、例えば2018年は
センター試験で380~384点取った人が17人(B判定をもらっている)、個別試験を受け11人が合格・6人が不合格だった、という具合です。

一般的にはB判定を取ればまあ安心といった見方をされますが、そんなことはありません。実際この表でB判定をもらったのは52人いますが、そのうち15人は不合格となっています。
B判定からC判定の辺りはどちらに転んでもおかしくない、かなり実力の拮抗している層です。

ではどのように行動すべきかというと、
当たり前ですが、ライバルより多く、できる限り時間を投入すること、戦略を練ること。
これしかありません。
1問2問、部分点の差で勝負は決まります。
気を緩めたら負けます。
普段は学校という狭い箱の中で生活しているので気づきにくいかもしれませんが、自分たちと同じような高校生がたくさんいることを忘れないようにしましょう。

点数の波が大きな理由を説明します

公開日 2019/12/18

今日の昼は12月としてはすごく暖かかったですね。服装を調節して体調を崩さないようにします。

生徒からの相談で多いものの一つが、「テストの点数の波が激しい」です。
高い点数と低い点数の差が大きい、といいます。
この相談をされるたびに、「当然ですよ」と私が答えている内容を書きます。

先に結論を述べますと、
「順位が中程度の生徒は、点数の幅が大きくなる傾向が強い」
です。

図を示して説明します。
前提として、3人の生徒がおり、それぞれ

Aさん…知識の90%を習得している
Bさん…知識の60%を習得している
Cさん…知識の30%を習得している

つまりBさんが、順位が中程度の人です。
そして、出題する問題の異なるテスト(1)、テスト(2)、テスト(3)を受けたとします。
下図がその結果で、知識(青い部分)とテスト(黄色い部分)が一致したとき得点できたとみなし、得点率(緑色の部分)に色を付けました。

Bさんの得点率を赤にしてますが、他の2人と比べて波が大きいのが分かるかと思います。
Aさんは知識量が多いため、どの問題が出されても高得点を取れます。
Cさんは知識量が少ないため、どの問題が出されても低得点です。
それに比べ、Bさんは知識に偏りがあるため、知識があるところを多く出題されたテストでは高得点が期待できますが、知識のないところが多く出題されると逆に得点が伸びません。
つまり、AさんとCさんは点数が安定しますが、Bさんは相対的に不安定となります。これが、点数に波がある原因です。


もう少し数学的に書いてみます。

習う知識が1000個あったとして、そのうち900個を習得しているAさんと、600個を習得しているBさんがいます。
テストには1000個から100個ランダムに出題されるとして、それぞれの得点の確率を計算してみました。

下図は順に、Aさんの得点確率とBさんの得点確率です。
横軸は1点刻みの得点、縦軸が確率です。
例えば、Aさんが90点を取る確率は約0.14、つまり約14%です。

Aさんの得点ごとの獲得確率
Bさんの得点ごとの獲得確率

AさんのグラフよりもBさんのグラフの方が山が低くなだらかです。Bさんの方が得点に幅があることが明らかですね。
ちなみに、Aさんが85点以上94点以下を取る確率は約92%、Bさんが55点以上64点以下を取る確率は約71%です。

以上から、成績中位層は点数の波が大きいと言えます。
これを我々は「運」と呼ぶわけですね。

過程で勉強は楽しくなる

公開日 2019/12/10

学校の勉強が楽しいかと訊かれて、楽しいと答える生徒は少ないです。
今は勉強をもっとしたいという子より、勉強についていけないという子の方が圧倒的に多く塾に来ますから当たり前かもしれません。

ではなぜ勉強が楽しくなくなるかというと、
一つは問題の答えばかり求めてしまうから、だと思います。

答えと過程どちらが大事か、という話ではありません。
過去の記事でも書きましたが何らかの試験等を受けるならば必ず結果つまり答えを示さねばなりません。しかし、力をつけていく過程で答えにばかり気を取られていると、楽しくなくなってきます。
そうなってしまうのも仕方ありません。
小学生のころから常に点数で測られてきますから。(その制度が悪いという話でもありません。)生徒の答え合わせの様子を見ていると、そのほとんどは答えが合っているかどうかしか見ていません。これだと合ってた、合ってなかった、と一喜一憂して話になりません。つまらなくなるのは当然です。

じゃあどうすればいいの?

と思ったら要注意です。
グーグル検索してみてください。
「~をするための方法!」みたいな記事はいくらでも出てくると思います。
一時期、答えではなく問いを探せみたいな本?(記憶があいまいです)が話題になりましたが、問を見つけるというのはまだ難しい生徒もいると思うので、(問は後から自然と湧いてきます)勉強するときには、答えにたどり着くまでの過程をよーーーーく考えてほしいと思います。
例えば歴史ならば、○○戦争が起こった経緯、時代背景を調べてみるとか。こういうことが原因かもな、と予想をします。数学は高校から解答の過程を書く必要が出てきますが中学生のころから意識しておくべきです。私もまだ勉強することが多いのですが、答え(最後の結果)はほとんどおまけのようなものと捉えています。

心配無用です。
過程を重視した学習を行えば、結果は高確率で勝手についてきます。そうなればもっと楽しくなっていきます。しかも、いつの間にか思考力がついているという豪華特典付きです。そしていずれは、何もしなかった人に圧倒的な差をつけることができます。

「勝」か「負」か

公開日 2019/12/05

受験というものは、残酷かもしれませんが勝負を明確に分けます。
模試みたいにA判定とかC判定とか、そんな甘いものではありません。
「勝つ」か「負ける」か。
それしかありません。
それも、たった1回の試験で決まります。
今までどのように頑張ったとか、何時間勉強したとかしなかったとか、関係ありません。
その1回で、相応の実力を示せたものだけが勝者です。

想像してください。
今のままで入試当日を迎え、終わったときに後悔しませんか。

入試というのは、ほとんど同じ実力を持ったものが集まり、競い合う試験です。
ほんの少しの甘えが、合否を分けます。
「敗者」になりたいですか。それとも、
「勝者」になりたいですか。

「わからない」がわかるかどうか

今年も残り1か月ですね。もう少しで2020年です。
2000年がもう20年前だなんて。
中学生も高校生も生まれてないんですね…
20年後には私は50歳…かっこいいオジサマを目指します。

学習の指導をしている者として、よく気になる点があるのですが

「この問題がわかりません」

という質問がめちゃくちゃ多いです。
これを聞いた瞬間、あ、問題のレベルが合っていないかもな、と思います。
すべてではありませんが、大抵はその生徒の理解度をだいぶ超えている問題です。たとえば、それを解く過程で用いる基本事項がそもそも不十分であることです。それは計算であったり、公式を理解していなかったり、ということです。それらを応用して解いていかねばならないのに、それを用いる時点で四苦八苦していては正解にたどり着かないのも当然です。

だから、全く手の付け方が分からない問題があったら、それは後回しでも良いんです。それより先にやるべきことがある、というのは私の口癖になりつつあります。
しかし学校の課題とか、そういう少々厄介な、やらざるを得ないものは一から解説するので聞きに来てください。どこで躓いているのか洗い出します。そのために、いちいち理解しているかを確認しますが面倒だと思わないでください。そうやって自分の課題は見えてきますよね。

このようにして、「わからない」ところが分かっていき、それをわかった状態にしていけば、100%学力は伸びます。100%です。ゲームより簡単です。私も同様にしてこの「ゲーム」を攻略してきました。今でもやっています。学校の勉強以外のことも。

勉強しても学力が上がらない?

まず勘違いしないでいただきたいのが、勉強しても「成績」が上がらないことはあります。この成績とは、例えば順位だったり偏差値だったり、要するに相対的評価です。自分の学力が上がっても、他人の学力がそれ以上に上がれば成績は下がります。

学力が上がらないのは、勉強していないからです。

言葉の意味というのは使う人によって異なりますよね。常識とか価値観と呼ばれるものです。
学校で出された課題をひたすらこなすだけで勉強していると主張する人がいます。もらったプリントをノートに切り貼りしている時間を勉強時間として数える人がいます。もしかしたら、勉強机に向かって座っているだけで勉強している、と主張する人もいるかもしれません。
これらは全て、本当に勉強しているとは言えません。後ろ二つは、そんなことしないよと考える人が多いと思いますが、一つ目は、やってしまっている人の方が多いはずです。また、これが怖いところで、当の本人たちはもちろん悪気はなく真面目に勉強していると思い込んでいます。このような記事を読んだとしても気づかないと思います。

合う教材を使っているか

どんなに多くの問題を解こうが、何時間も机に向かっていようが、効果的な勉強でなければ意味がありません。わかりやすくすると、高校1年生が一桁同士の足し算ばかりやっていたり、専門用語満載の論文を英語の教材に使っていたらどうでしょう、明らかに効果がありませんよね。程度は違えどそれと似たようなことです。つまりは適切なレベルの教材で勉強すべきだということです。

頭にぶち込み、かつそれを引き出せるか

プリントで授業する学校の先生が多いようです。そのプリントを切り貼りする時間は勉強時間ではありません。(厳密にはこの作業は無駄ではないと思います。ただ学力を上げることに関してはほぼほぼ無意味です。細かい作業をする能力云々…という話はきりがないのでしません。それだけこの世の事象は複雑だということで。)
勉強をするということは、新しい知識を取り入れることに加え、それを定着させることです。この定着させるというところが肝です。学習状況をヒアリングしていると、先生の言っていることは理解できているつもりだけどテストで点が取れない、という声がかなり多いと感じます。定着していないからですね。知識を取り入れたら、それを使えるかどうかを試すのが重要です。それが演習の目的です。演習を重ねることで定着していきます。1回やれば良いわけではありませんよ。

自分に適切な教材を使うことと、定着させることの2点を書きましたが、これらを実行するだけで誰でも学力は上がります。
ここまできちんとできたとしても前述のとおり成績が上がるとは限りませんが、99.9%の人は勉強する能力の差がほとんどないので、どこで差をつけるかというと時間です。別の記事でも書いていますが質の方ばかり求めて量をこなさずに嘆いている人がまあまあいます。最初から効率よくなんてできません。たくさんやっていく中で少しづつ洗練されていきます。
適切な教材で、知識を頭にぶち込み定着させていく時間をある程度確保できれば、案外偏差値は上がるものです。

ところで、いつも思うんですが勉強っていう言葉があまり好きではありません。濁音からはじまってなんかよく分からないですけどいやじゃないですか?何か響きの良い言葉に替えたいです。

公開日 2019/11/1

勉強法ばかり考えていても

行動しなければ意味がありません

もちろん効率よく学習を進めることは重要です。
なぜなら、我々に与えられた時間は有限だからです。
しかし、どれだけ効率よく学習できる方法があっても―英単語を一日千個憶える方法があったとしても―それを実行しなければ当たりまえですが何の効果もありませんよね。

始めることって難しいですよね

でも一旦始めてしまえば、案外簡単なものです。
なので、始め方を少し工夫すれば良いと思います。
例えば、簡単な自分ルールを作ってみることです。寝る前に参考書を3分だけ読むとか、日曜日は朝起きてすぐ10分くらい散歩するとか、すぐできそうなことで構いません。本当に小さなことからで良いです。その方が気楽だからです。気づけば体が勝手に動いています。ちなみに私は毎日寝る少し前に簡単なストレッチをしています。身体めちゃくちゃ固いんですけど、老後のために。

大抵、行動してから気づきます。ああ、もっと早く始めていればなあと。
学生の皆さんは、まず今すぐそのスマホのSNSアプリをいったん閉じて、その時間を始めたいことに回してみてください。

公開日 2019/10/29

受験勉強のメリット

朝晩寒くなってきましたね。でも昼は暑いですね。
私は年に2回くらい必ず風邪を引くんですがこの時期が最も確率が高いです。皆様もお気を付けください。

来年のセンター試験まで100日を切りました。高3生は後悔の無いよう受験対策を行いましょう。たった100日です。人生80年として、365日×80年=29,200日。率にして、100/29,200=約0.0034、生きているうちの0.3%です。このほんの少しの期間でその後の豊かさを大きく変えられることはなかなかありません。受験勉強は「とってもお得な」努力の仕方です。

勉強は、時給4万円

少し前にTwitterで話題になりました。↓
https://twitter.com/gengen_36/status/782180418489454592
1000時間勉強したとして、年収が100万円上がった場合、40年働くと4000万円の差が生まれます。4000万÷1000時間=時給4万円、ということです。勉強を1時間すれば良いところを、時給1000円のアルバイトで稼ごうとすると40時間働かなければならないですね。

これは伝わりやすいように簡単に書かれていますが、実際は年収100万円アップどころではないと思います。200万とか普通にありえます。

お金に目が行ってしまいがちだと思いますが、勉強のメリットはそれだけではありません。
例えば、いわゆる難関大学に進学できたとしてそうではない場合と何が違うかというと、戦いを勝ち抜いてきた人と簡単に出会えます。やはり成果を出してきた人たちは面白いです。計算だけは絶対に敵わないなと思った人間電卓みたいな人だったり、特別な能力はなくても(こう言うのは失礼ですが)まっすぐ目標に向かって進み達成していく人であったり。
もちろんどこにでもそのような人はいると思います。ですが、はっきり言って(いろいろな意味で)密度が違います。

これ以外にも人生を豊かにしてくれるものが多くあります。それは、その環境にいる人にしかわかりません。私は東大には入れませんでしたが、東大生にしか分からない、東大に在籍するメリットがあるはずです。
先ほども書きましたが、人生の1%もない時間を使ってそのような体験ができる環境に入ることができるというのはものすごーくお得なことです。
当時の自分に言い聞かせたいくらいです。
やるしかないでしょ!