公開日 2021/09/15
駅にこんなものが掲示されていました。
なぜ立ち止まるべきなのか?
接触転倒事故を避けるためですが、
今回は学校で習ったことを使って数字で考えてみましょう。
仮定
駅の1階から3階まで昇ることを想定する。
1階床面から3階床面までの高さを10mとする。
(諫早駅のホームから改札階がこのくらい)
エスカレーターは、三菱電機ビルテクノサービスを参考にし、秒速50cm、傾斜30度とする。
このとき、エスカレーターの右側一列を空けて乗る(歩いて昇る)ことにメリットがあるか考えます。
考察
30度60度の直角三角形の辺の比、1:2を使うとエスカレーター部分の長さは上図の通り20mになります。
普通に立ち止まって昇る場合、
秒速0.5mで進むので40秒かかります。
一方でエスカレーターを歩いた場合、
やや速めに1秒に2ステップ踏むとすると、
1ステップ20cmの高さがありますから1秒にプラス40cm、0.4m進むことになります。
これは高さなので、斜め方向は0.8mですね。
つまり、0.5+0.8=1.3、秒速1.3mで進みますから20÷1.3≒15秒かかることになります。
立ち止まるより25秒早いです。
この25秒をどう見るかは人それぞれだと思いますが、私は25秒のために事故のリスクを負うのはバカバカしいと思いますね。
1列で使用した場合と2列で使用した場合を比べてみましょう。
立ち止まって乗る人だけがいると考えると、2列使用すれば時間当たりの輸送量は単純に2倍になります。
では、立ち止まって1列、歩く人1列の場合どうなるか。
都会の駅ほど歩いている人が多いですが、仮に歩く人が3人に1人いたとします。
(歩く人同士の間隔は広いため)
立ち止まっている列の時間当たり輸送人数を1とすると、歩く列のそれは1×1.3/0.5×1/3≒0.87です。
立ち止まる列と合わせて1.87ですね。
2列とも立ち止まると輸送人数は2なので、これより少ないということです。
歩く人の間隔を狭くして2人に1人としても、輸送人数は2.3にしかなりません。
以上から、エスカレーターを1列空けて乗ることのメリットはあまりないということがわかりますね。
特にショッピングモールなどのエスカレーターで右の列を空けて乗っている光景は世界の七不思議の一つです。
こういうのをもう少し難しくすると共通テストの数学の問題になります。