公開日 2022/04/13
一般的に私立大学は学費が高いと言われますが、
国公立大学と比べて、実際どれくらい高いのか?
例えば親子で進路の話をする時、金銭的な話も挙がると思いますが、
「高い」、「低い」で終わってないでしょうか。
それだけで片付けてしまっては、話は先に進みません。
「やった」「やってない」の応酬、水かけ論と変わりません。
具体的にどれほどの差があるのか。
調べてみましょう。
入学金・授業料
令和3年度(2021年度)の統計(平均値)です。
入学金(a) | 授業料(b) | 計(a+b*4) | |
国立大学 | 282,000 | 535,800 | 2,425,200 |
私立大学 | 245,951 | 930,943 | 3,969,723 |
入学金と4年分の授業料の合計は、約240万円と約400万円で、その差は約150万円でした。
またこれとは別に初年度納付金、私立大学だと施設設備費などという名目で費用がかかります。
私立大学の具体例を見てみましょう。
福岡大学 経済学部の場合
入学金(a) | 授業料(b) | 教育充実費(c) | 合計(a+b*4+c*4) |
190,000 | 730,000 | 180,000 | 3,830,000 |
福岡大学 薬学部の場合
入学金(a) | 授業料(b) | 教育充実費(c) | 合計(a+b*4+c*4) |
400,000 | 1,350,000 | 290,000 | 6,960,000 |
その他アルバム代など細かいものは省いています。
近場も調べてみました。
長崎純心大学 人文学部の場合
入学金(a) | 授業料(b) | 教育充実費(c) | 合計(a+b*4+c*4) |
240,000 | 700,000 | 240,000 | 4,000,000 |
注意すべきなのは、
私立大学は学部によって大きく異なる点です。
理系の特に医歯薬学部は他より高くなります。
この差をどう考えるか
上の例のように、
医・歯・薬学部は国公立大と私立大で大きく差が出ます。
国公立大の方が圧倒的に得です。
それ以外、特に文系学部の方はどうかというと、
上の例では150万円ほどの差でしたね。
これをどう捉えるか。
給付型奨学金
例えば、日本学生支援機構の給付奨学金。
給付なので返す必要はありません。
世帯収入の条件を満たし、学業に問題がないならば受けられます。
入学金、授業料の減免や毎月の給付を受け取れます。
私立大学・自宅通学ならば月4万円ほどのようです。
→日本学生支援機構の給付奨学金
大学ごとにも様々な制度があります。
例えば、東京都の上智大学を見てみます。
→上智大学奨学金案内
そのうちの「上智大学修学奨励奨学金」は
家庭の収入と本人の学業成績が良好であることが条件ですが、
授業料の全額、半額、または3分の1が給付されるとあります。
経済学部だと授業料は年額78万円、4年で312万円なので、
半額給付で156万円となります。
これで国公立大との差があまりなくなります。
将来の期待できる年収
もちろん進む大学ですべて決まってしまうわけではありませんが、
大学の難易度や実力と卒業生の収入に相関関係があることは事実です。
都会であるほど平均収入は上がります。
経済規模、企業規模などの影響でしょうが、やはり都会の大学卒業者の方が収入は多い傾向があります。
簡単な例を出します。
地方の国公立大を卒業し、年収が400万円だったとします。
一方で東京の私立大学を卒業し、年収が450万円の人がいたとします。
上で挙げたように、大学4年間での支出の差が150万円だったら、
その差はたった3年間でなくなり、逆転が起こります。
以上のように、
金銭的問題の解決策は存在します。
これだけでなく、貸与型の奨学金でも良いし、ある程度の差額はアルバイトでまかなう、ということもできると思います。
こういうのは、感情は横に置いておき数値で議論する必要があります。
色々な制度がありますから、すぐに諦めずに親子でよく調べ話し合いましょう。
最良の選択ができると良いですね。