九大の数学が易しすぎる

公開日 2025/02/27

2/25,26は国公立大前期の入試でした。
受験生の皆さんお疲れ様でした。

今週分の別の記事を書いていたのですが、
九州大の数学の問題を見て仰天したので取り急ぎこれを書いています。

河合塾の解答速報からです。
理系の問題。少し編集しています。

昨年までと比べてとんでもなく簡単(?)な問題ばかりです。
例年理系数学は数学Ⅲからの出題がメインなのですが、
今年は5問中1問だけでほぼ教科書レベル。
4問はⅠAⅡBの範囲です。
満点が続出してもおかしくないですね。

そもそも九大は難問奇問を出すような大学ではなく、標準的なレベルの問題が多い(2023年などを除く)ですが、それにしても易化しすぎです。
(河合塾も「かなり易しくなった」と講評しています)

毎年九大の数学はすぐに解いているのですが、手を進めながら本当に九大の問題か疑いました。
3番など5分で終わるほど。
共通テストの方が難しい。

受験生は注意

来年も同様の問題になるとは考えないでください。
2024年の問題レベルで考えてください。
これは過去に例がありません。

なぜこうなったかはまだわかりません。
今のところ、他大学を見てもこのように極端なところは見当たりません。
問題の作成者が変わったのか。
何かメッセージがあるのか。

今回の問題で差がつくとすれば、
説明の丁寧さでしょうか。
生物以外は易化した科目が多く、ほんの少しの差が合否を分ける、ということになりそうです。

千里眼

公開日 2025/02/20

長女が生まれました。

身長51cm、体重3400g。
母子ともに無事で安心しました。
10ヶ月前、エコー画像で豆粒しか見えなかったのがみるみる身体が出来上がっていきこんなに立派になるとは、生命の神秘、力強さを感じます。
分娩に立ち会いましたが、その時の心情は様々に入り混じった、なんとも形容し難いものでした。
生まれた時は、何というのでしょうか、
「感激」ですかね。
妻には感謝です。

近年、若者が結婚したがらない、というようなニュースをよく目にします。
ニュースはネガティブな感情を呼ぶような情報を多く流しますからね。
私よりも若い人たちには、このようなネット上にある「蜃気楼」に惑わされないようにしてほしいです。
テレビが真実、の時代は、ネットは真実、の時代に変わりました。
自分が体験したわけでもなく、大学でこうこうこういう研究結果が出て「エビデンス」があるから絶対に正しいんだ、というような論調もあります。定説は覆される、ということも知らずに。
(そういう研究、ネット上の世論を否定することはないです)
もっと報道は、自分の子どもを持つことの素晴らしさを世に広めてもよいのでは。
と同時に、リテラシーが必要ですね。
百聞は一見に如かず
これに変わる経験はありません。

Happy Birthday

どんな父親も同じなんでしょうか。
はたまた職業病のひとつなんでしょうか。
すでに幼稚園、小学校どうしようなどと考え出す自分がいます。
この子が18歳になるころの世の中はどうなっているのだろうと。
どうなるにせよ、私の責務はこの子が一人でも生きていけるようにすることです。
「一人で」というのは、
誰の助けも借りずに、ということではありません。
そんなことは不可能。
他者を尊重し、しかし迎合することなく、自分の志を持って生きていくことを願います。

すでに、どのように親離れ・子離れしていくのが良いか、
などと考え始めた親バカもまた、
ここに誕生しました。

2025年国公立大入試の志願倍率

公開日 2025/02/13

国公立大、一般選抜の中間集計が出ていますので並べてみます。
すべて前期日程です。
現高2は、来年の入試への参考にしてください。予想ができます。

九州大

今年分は、2/5時点の数値です。(未確定数値)

学部学科志願倍率2024年倍率2023年倍率
共創2.93.22.9
2.52.52.4
教育2.73.22.6
3.12.62.7
経済経済・経営3.12.52.7
経済工2.42.62.6
2.72.52.6
2.42.52.6
生命2.24.23.2
保健2.42.62.6
3.13.63.8
創薬2.62.42.5
臨床薬2.33.33.8
2.22.22.2
芸術工3.43.93.6
2.62.62.2
合計2.62.62.6

傾向として、東大を筆頭に難関であるほど倍率の変化は少ないです。(医学部医学科や定員の少ない学科を除く)
医学部生命科学科や薬学部臨床薬学科の下落は目立ちますが、概ね安定して推移しています。
北大、東北大、東大、東京科学大、一橋大、名大、京大、阪大、神戸大、九大を目指す生徒は倍率を気にする必要はほとんどありません。

長崎大

今年の分は、2/6 17時での数値です。(未確定数値)

学部学科志願倍率2024年倍率2023年倍率
多文化社会多文化社会2.52.21.3
教育小学校2.42.31.8
中学校1.81.92.1
幼児1.63.03.4
特別支援3.01.92.4
経済総合経済1.81.91.8
医学医学5.97.73.8
保健2.33.22.4
歯学歯学4.06.03.8
薬学薬学4.06.55.4
薬科学3.54.23.4
情報データ情報データ2.12.51.6
工学a1.72.21.5
b5.33.46.3
環境科学環境科学2.12.72.2
水産水産2.42.72.8
合計2.63.02.4

コロナの影響で急落していた国際系学部の人気が戻りつつある中、多文化社会学部が志願者を伸ばしています。
医学部や歯学部はきれいな隔年現象が起きています。
工学部はa方式が共通テスト重視型、b方式が個別試験重視型なのですが、相変わらずbが人気です。

来年は、共通テストが今年よりやや難化するという予想を加味すると、
多文化社会学部は今年よりやや下回り、医学部医学科は今年並み、工学部a方式は今年並みかやや増、b方式は4倍台になると予想します。
工学部志望者は、共通テスト対策を重視しa方式に出願するのが有利です。

長崎県立大

2/7 16時時点の情報です。
こちらのリンク先からどうぞ(いつか消えます)→令和7年度長崎県立大学一般選抜志願状況

経営学部はこちらの記事で指摘したように、特に経営学科は2.4→4.6と志願者が激増です。
一方、地域創造学部公共政策学科の英語選択の方は3.1→1.8と減少しています。
1倍台のインパクトは大きいので、来年はここが増えることが予想されます。(また共通テストやや難化→長大志望者が流れてくる、という構図ができそうです)

最低賃金1500円は実現可能か?

公開日 2025/02/05

世の中にはいろいろな数字が溢れていますが、
それを信じるか、信じないのかは自分で判断する必要があります。
数字は嘘をつきませんが、詐欺師は数字を使います。
(決して特定の人物を批判するものではありません)
数学を勉強することの大切さを少しでも理解していただけると良いと思います。

等比数列

高校数学B(だいたい高2で習う)に数列という単元があります。
例えば、
1, 3, 5, 7, 9,…
と数字を並べたものです。
この例は2ずつ増えていくので等差数列といいます。
左から順に第1項(初項)、第2項と続き、一般化して第n項を\(a_n\)と書きます。
この数列は\(a_n = 2n – 1\)と表せます。

一方、
1, 2, 4, 8, 16, …
と並べたものは等比数列といいます。
2倍を繰り返した数列ですね。この2を公比といいます。
この数列を使うと、
石破首相が打ち出した、「2020年代に最低賃金1500円」という目標がどのようなものか、理解することができます。


ところで、1万円の現金を、年利2%の銀行口座に預けると1年ごとにどうなるでしょうか?
表にしました。0.02は2%のことですね。
真ん中の列が計算式、右の列が計算後です。(小数点以下切り捨て)

1000010000
1年後\(10000×(1 + 0.02)\)10200
2年後\(10000×(1 + 0.02)^2\)10404
3年後\(10000×(1 + 0.02)^3\)10612
n年後\(10000×(1 + 0.02)^n\)

つまり、n年後の預金は初項10000、公比1.02の等比数列になるということです。
10年後は、nに10を代入して12189円となります。

達成は困難?

これと同じことを最低賃金にも当てはめてみます。
厚生労働省によると、2024年の最低賃金の全国平均は1055円でした。
2029年までに1500円を達成したいとすると、年何%の増加が必要か?
まずは、2023年は1004円でしたので、1004→1055の年5%増加と仮定して計算してみましょう。

10551055
2025\(1055×(1 + 0.05)\)1107
2026\(1055×(1 + 0.05)^2\)1163
2027\(1055×(1 + 0.05)^3\)1221
2028\(1055×(1 + 0.05)^4\)1282
2029\(1055×(1 + 0.05)^5\)1346

達成できません。
同様に、年6%で計算すると2029年に1411円。
年7%で計算すると1479円。年8%で1550円。ここでようやく達成です。

方程式ならば、
\[1055 × (1 + r)^5 = 1500 \]
を解けばよく、
\[(1 + r)^5 = \frac{1500}{1055} \]
\[1 + r = \sqrt[5]{1.42} \]
\[ r = 0.073\]
(概数計算してます)
となり、つまり年7.3%の増加で達成できると分かります。
\(\sqrt[5]{1.42}\)はiPhoneの電卓でも計算できます。
現時点での最新バージョンだと下のような画面です。

左下の電卓ボタンをタップすると出てくる、「科学計算」にするとこのようになります。

赤い丸をつけたボタンで、xのy乗根を計算できます。

ここ10年ほどを見ても、毎年の増加率は3%前後です。
地域別最低賃金の全国加重平均額と引上げ率の推移

これで年7%増加と言われても…という感想の企業の方が多いのではないでしょうか。