反復練習は、同じことの繰り返しではない

公開日 2025/12/17

基礎基本を身につけるには、反復練習が欠かせません。
何かを習得するときには次の3つの段階に分かれます。

分かる

できる

身につける

私は「できる」と「身につける」を明確に分けます。
「できる」とは、考えたら自分の思うようになること。
「身につける」とは、考えずとも勝手に身体が動くこと。
例えば、歩く、走ることは、ほとんど全ての人が「身について」いることです。

「できる」で終わっている

今の教育課程は、やることが多すぎて「身につける」までに至らない児童生徒が多いと思います。
昔から読み書き算盤、と言われますが、漢字を書けない、計算ができないで義務教育を終了してはいけません。
加えて「叱る」ではなく「褒める」が是だという二分法的思考(あるいは洗脳)が広まってしまったがゆえに自己中心的な態度の子どもが多くなったとも聞きます。
そのような状態で高等教育を受けられるわけがありません。

反復練習

身につけるには、反復練習が欠かせません。
しかしこの言葉のせいなのか、反復練習をただ回数をこなすことと捉えている人も多いという印象を受けます。
例えば英単語を覚えられない、という生徒は、
反復数が少なすぎるか、ずっと同じことを繰り返しているかです。
同じことしかしないから、すぐに飽きてしまうのです。
ここには、そういう生徒へのアドバイスを書いておきます。

英単語ならば以下のような勉強の仕方があります。
・音読する
・聞く
・ノートに繰り返し書く
・例文を読む
・辞書を引く
・想像する
・動詞ならその動作をする
・英文を書いてみる
・語呂合わせを作る

これらを全部やったことがありますか?
ある日は音読、またある日はひたすら書いてみる、など日々やり方を変えてみてもよし、
1日の中でいろいろやってみるもよし。
いろいろ試していくうちに、自分にとって覚えやすい方法がだんだんと分かってきます。

つまり、毎日全く同じ動作をするのではなく、
様々な刺激を加え、覚え方も日々鍛錬していくのが反復練習の本質です。
その結果、呼吸をするように英単語が言え、計算ができ、より高度な学習へとつながっていくわけです。

共通1次、センター、共テを解き比べ

公開日 2025/12/11

大学入試は年々変化しており、私が受験生だったころと比較しても全く別物です。
近年の入試を知らない方もおられると思いますので、今回は数学の問題を紹介します。

分量が違いすぎる

早速ですが、問題を比較してみましょう。
1989年の共通1次
2008年のセンター試験、数学Ⅰ・A
2025年の共通テスト、数学Ⅰ・A
の問題を並べた画像です。

共通1次の出典は→Mathematics Examination Test Archives
センター試験と共通テストは→日本の学校
共通1次は実際の紙面ではないためページ数が不正確ですが、数学の問題はこれが1年分です。
対してセンター試験と共通テストは2科目のうち、1科目の問題だけ並べています。
(センターはこれに加えて9ページ分、共通テストは32ページ分が追加されます。)
これだけで、どれほど量が増えたかお分かりいただけると思います。

2科目合計のページ数は、
2008年の17ページから、
2025年は56ページへと3倍以上になったのです。

試験時間は、
共通1次が100分。
センター試験は60+60=120分。
共通テストは70+70=140分。

余裕

しかしこれだけ見て、単純に共通テストが難しすぎると判断するのは早計です。
実際に解いてみました。
画像の分を全部解いた結果、()内は制限時間
共通1次→50分(100分)
センター→40分(60分)
共テ→65分(70分)

私が受験した頃のセンター試験がぬるま湯に感じてしまいます。
共通1次はかなり時間的余裕があります。
しかし受験生に勘違いしてほしくないのは、
昔は今ほど受験環境は充実していないという点です。
参考書はわかりやすいものが豊富ですし、無料で授業動画をすぐに見られるような今の環境はぬるま湯だとも言えるわけです。


何をやめますか?

公開日 2025/12/05

入塾する生徒によく話すことがあります。
塾に入る代わりに、何をやめるか?

足してばかりではだめ

ほぼすべての人が平等に持っているものがあります。
時間です。
およそ100年、1日24時間。
これを何に割り振っていくかで、将来が決まっていきます。
1日25時間ある人はいません。
だから、何か新しいことをするということは、
同時に今までやってきた何かをやめる、ということでもあります。

人は何かを失うときに抵抗感を持ちます。
極力、今までと同じであろうとします。
だから、新しいことを始めても、捨てずに足すだけになることがよくあります。
「忙しい」ことの原因の一つはこれでしょう。
やることをただただ増やすだけでは、いずれすべてが半端になります。

欲張り

欲張ることが悪いと言いたいわけではありません。
(私も欲張りな方だと思います。)
しかし、欲張るということはそれと同じくらい、何かを犠牲にしなければならないことだと思います。
毎日12時間受験勉強する高校生は、それなりに素晴らしい大学へ進学する一方で、何かを失っています。
私のポジションとしては、できるだけ高みを目指してほしいという思いですが、
何でもかんでも手に入れられるわけではない、という覚悟は必要です。

己を知れ

公開日 2025/11/27

実力を上げるのに不可欠な要素のひとつ。
それが己を知るということ。
自分の現在の実力を知ることなしに成績上昇はありえません。

例えば、
1000個の問題がある問題集のほとんどを解けるようにしておくと、志望校に合格できるとします。
入試まであと3ヶ月。
1000個の問題のうち、自分は今半分の500問は解ける実力であると知っているならば、
残り500問を3ヶ月以内に、つまり1日6問できるようになるペースならば間に合うと判断できます。
さらに、何回やれば完全に解けるようになるか、ある程度予想ができれば緻密な計画が立てられます。

逆に、何も知らないと
入試に間に合わないことがほとんどです。
多くの受験生は模試の結果、単純なアルファベットの判定で実力判断しています。
ですから、少し正確に実力を知っているだけでも有利になります。

どのように測るか

英単語帳を使っている生徒は多いですが、
そのうち何%の英単語を覚えたか?という質問に即答できた生徒はごく稀です。
英単語帳は最も実力を判定しやすいものです。
なぜなら、
そこにある2000単語を1つ1秒で思い出せるかテストしてみれば、2000秒、つまり33分20秒で測定が完了してしまうからです。
そしてその測定はものすごく正確に実力を表しますね。

これが数学だと大変です。
チャート式1冊、例題350問を解くのに、1問平均15分かかるとしたら90時間近くかかります。
英単語と同じくらい正確に測ろうとすると、90時間かかってしまいます。
(だから数学は一番時間のかかる教科です)
これをやるわけにはいかないので、工夫する必要があります。

測るものは実力だけではありません。
自分が100単語を覚えるのに必要な時間を知っていますか?
教科書の章末問題レベルの問題を1問解くのに必要な時間を知っていますか?
完璧にとは言いませんが、
ある程度かかる時間を知っておかないと、期限のある入試までに間に合うかどうかが全く想像つかないのです。
だから受験生は、この時期に焦り出したりするのです。

100点はクソ

公開日 2025/11/20

タイトルからお目汚し失礼しました。
100点取ったらうれしいですよね。
私もうれしいです。

しかし、
この「100点病」によって我々の成長が妨げられています。
だからあえて書きます。100点はクソであると。

価値のないノート

身なりを整えることと、ノートを作ることは全く違います。
人前に出る時は、ある程度キレイな格好でなければなりません。
が、それとノート作りが一緒になってしまっている人が多いのではないでしょうか。
ノートをキレイにしてどうする。

「ノートをキレイに」ということの意味は、
解いた問題が全部マル
のようなノートです。
次のようなノートは良いものです。
・整理されている
・読みやすい
これらは逆に必要です。自分にとって読みやすいものであればよいです。

そうではなくて、良くないのは、
間違ったものを全部消して、正解だけ書いてあるようなノートです
そんなものは要りません。
正解だけ書かれたようなものは、本屋に行けばいくらでもあります。

間違いという財産を消してはいけない。

100点病にかかっている生徒はすぐにわかります。
人に見られて何か言われるのがいやだから、隠して書く。
間違いを認めること=否定されるという感覚。
大人にも責任がありますね。

0点こそ至高

もちろん目指すのは100点です。
別に90点でも80点でもよいです。
ただ、
100点は、ゲームオーバーです。
もうそれ以上がありません。
つまらない。

0点ならば?
それだけ知らないことがあるということ。
楽しい楽しい、ゲームの始まりです。



AIで志望理由書

公開日 2025/11/14

朝はやや寒くなってきました。
推薦出願の季節です。

生徒がChatGPTで推薦書類を書くという話をしていました。
これについての意見を書きます。

AIは道具


AIも所詮は道具であり、どのように使うかが重要です。
使い方が悪ければ使わない方がましです。
当然、すべてAI頼みはNGです。

どのように使うかは、使う人によります。
そこで重要となる視点が、
面接でのふるまいです。

例えば、ほとんどの受験生に当てはまると思いますが、
文章の書き方を知りません。
言葉遣いや構成などを知らないので、皆最初に書く文章はぐちゃぐちゃです。
また、普段から同年代の人としか喋らないでいると、話す時の言葉選びも下手です。
つまり、いくら志望理由書をAIを利用して上手に書いても、
言葉の使い方を知らなければ面接時に書類と実際の話し方の差が大きくなってしまう、ということです。

知識についても同様ですね。
たいそうなことを書いていても、面接で自分の言葉で喋ることができなければバレてしまいます。
(受験生側がAIを使うことは大学側も知ってはいますが。)
相手は大学教授です。
高校生の何十倍も知識と経験があります。

効果的な使い方

あまり背伸びをしても、自分のふるまいは追いつけません。
だから、ある程度自分が書きたいことを書いてみた後に、それをブラッシュアップしてもらいましょう。
添削ですね。
修正の範囲は、自分の言葉で話すことができる程度。
そして、AI添削をきっかけに語彙力を上げましょう。
AIにすべてをやってもらうという姿勢ではなく、吸収できるものは吸収しましょう。
大学は向上心のある人を欲します。

平均点

もう一つの注意点です。
AIはどのようにしてユーザーの質問に答えているでしょうか?
インターネット上にある情報や、直接人が教えた情報を頼りにしています。
ちなみにChatGPTは有料の情報にはアクセスしていないようです。
つまり、みんなが手に入れることができる情報から答えを生成しています。
これは、
AIの答えは平均点レベル
ということです。
AI頼みで書かれた文章が、熱意を持った人の文章に勝てるはずがないんですね。

これからどうするか

公開日 2025/11/06

高校生は3学年とも進研模試がありました。
自己最高点だった生徒も、思うように行かなかった生徒も、
模試の後が大事です。
このような節目でどう行動していくかが、80年の人生を左右すると言っても過言ではありません。
これは、高校までの勉強の成績で人生が決まるという意味ではありません。
大事な時に、どのように考え行動していくか。
人間には癖がありますから、未来の自分に正の影響を及ぼす行動をとるか、負の影響を及ぼす行動をとるのかも同様にその人の癖がでます。
だから、20年、30年と経過した時に全く異なる結果になります。
高が模試で大袈裟な、
という考えでは、入試やその先でうまくいくはずがありません。

当日のことを話し出す

生徒に模試はどうだったか、模試の結果を受け今後どうするか、と尋ねると
多くの生徒が、

過去問を解いた時はこうだったんだけど・・・
途中で集中が切れて・・・
ここはケアレスミスをしてしまって・・・

と言った内容を話してくれます。
私はそういうことを答えて欲しいのではありません。
結果が悪かったことやその言い訳を聞きたいのではありません。
100歩譲って、話を聞いてくれる人がいないのならば聞きますが、私が最も興味があることは、

これからどうするか?

です。
例えば過去問より問題が難しかったとか、そんなことはあって当然です。
自分の力でなんとかなるものではない。
影響力の範囲
でも書いたとおり、自分の影響力は限られています。
試験問題をコントロールすることはできません。自分をコントロールしてください。

模試で言えば、
模試のための準備が適切だったか?
その準備の成果が反映されたか?
次へ向けて改善することは何か?

必ずこれらに答えてください。
続けていれば、間違いなく成長していきます。
これをせずに毎回同じことをしていても、良くて現状維持、十中八九衰退です。

これからどうするか?
過去は教訓とすることはできても、決して取り戻せません。
学生の時が一番楽しかった、と言う人にはなってほしくありません。

集中できないという人へ

公開日 2025/10/30

「試験中に集中できない、集中力が切れる」
という話をよく聞きます。
こう子どもが言うと、
この子は集中力がないから、集中力をつけないといけない、とか
試験に真剣に取り組んでいない、
などと考える方が多いのではないでしょうか。

私もかつてはそうでした。
が、こう言う生徒が昔に比べ多いこと、学力関係なくいることが引っかかりました。
しばらく調べたり考えたりしているうちに、一つの仮説ができました。

集中している時間が長すぎるのではないか

学生たちは忙しすぎます。
学校の教科のカリキュラム以外にも、よく分からない探究活動、課外活動、塾や習い事の掛け持ちなど。
そこへスマホの追い打ち。
暇がない生徒が多いと感じます。
平日だろうが休日だろうが「集中」することを求められるのならば、
集中力が切れて当然なのかもしれません。

2024年長崎大の英語の入試問題で、脳の2つのモードの話がありました。
1つは集中モード。
目の前の一つのことに力を集中させます。
もう一つは拡散モード。
集中とは真逆で、リラックスしているときをイメージすれば良いと思います。

つまり、集中できないという人は、
脳が集中モードのときが多すぎて、拡散モードに入る時間が少ないというのが仮説です。
集中しすぎて疲れているのではないかということです。

入試の文章中では、迷路に喩えられていました。
集中モードは迷路の中にいて、一つ一つのルートを探っている状態。
拡散モードは迷路を上から眺めている状態。
この拡散モードの時に、
今まで得た情報を俯瞰的に見て、整理したり、
時には一見関連のない情報が結びついて自分の中でイノベーションが起こったりするようです。
(確かにそういう感覚はありますね)

拡散モードを言い換えるとぼんやりしている時間です。
いかがでしょう。
ぼんやりしている時間、少なくなっているのではないでしょうか。
常に何かに追われている感覚があったり、スキマ時間にスマホを見ているならば要注意です。

だから、集中できないのが悩みの人への解決策の一つは、
ぼんやりする時間を意図的に作る、ということです。
受験生によくおすすめしているのは手ぶらで散歩です。
体力の維持のためにも有効です。



いきなり解き始めない

公開日 2025/10/23

日曜日に中3の模試がありました。
試験を解く様子を観察していたのですが、全員に共通する点を見つけました。

「はじめ」
の声とともにまず解答用紙を取り出し、名前と受験番号を書きます。
その後です。
皆さんすぐに第1問を見て解き始めます。

それではいかん

こんなことをしていると、将来余裕のある日々を送ることができません。
常に、目の前のことで頭がいっぱいになってしまいます。
今でもそうなっていませんか?

まず何をやるべきか。
全部見ることです。
試験が始まってから1、2分の間にやることは、第1問を解くことではありません。
問題冊子をパラパラとめくって、全体をつかむことです。
「ああ予定通りだな」
「今回はこの大問が少し変わっているな」
「この問題は後回しにすべきだな」

この1、2分で問題を解き進めるよりも、
大きなアドバンテージを得られます。
実際にこんなことも起こります。

最初の問題が全体で最も難しいもので、そこに時間を使いすぎて解ける問題を解かずに終わった。
試験を解き進めていたら、中盤で見たことのない形式の問題に出会い動揺してしまった。

本番の入試の要項には、
「進んでいくにつれ問題が難しくなります。」とも、
「模試と同じような形式で問題を作ります。」とも、
書かれていないのです。

視野狭窄

「目の前のことしか見えていない」
2週間前に書いたことですが、視野が狭いと余裕がなくなり、判断を誤ります。
視野というのは、時間的視野を含みます。
簡単にいうと、少し先を想像できるか?ということです。
大学卒業後のことを何も考えずに大学へ行きますか。
キャリアを考えずに就活しますか。



まるでたけのこ

公開日 2025/10/16

子どもの成長はとても早いですね。
自分の娘を見ていても、日々いろいろな動きができるようになったり、それまでとは違う表情を見せたりと驚きの連続です。
塾で片付けをしていたら、
中学生の時から通ってくれている生徒の模試結果が出てきたのですが、平均点に届いていないものばかりでした。それが今では進学校の生徒でもあまり書けないような解答を書けるように成長しており感慨深いです。
大人ではあまりこういうことはないですからね。

塾講師として仕事をしていて最も喜ばしい瞬間が、
生徒の成長を感じられた時です。
もちろん、以前解けなかった問題を解けるようになったときもそうなのですが、
それよりももっと抽象的な、学習能力面だったり、人間性の成長が見られた時の方がうれしいですね。
(特に私が教えているわけではないのですが)
例えば、宿題をやってこないことがあった生徒が、宿題の範囲を超えて勉強するようになっていたり、
言いたいことをまとめられずに話が長かった生徒が、要点を伝えられるようになっていたり。
こういうのを見ていると、
この子は学校を卒業してもしっかりやっていけるようになるだろうな、と謎の安心感が生まれます。

それとともに、
それだけ成長が早いということは、子どもにとっては1日1日が大人よりも貴重な時間であるということです。
その時間を無駄にしないように、大人側も真摯に向き合わねばならないなと、身が引き締まる思いです。