いつ学力が上がるのか?

公開日 2022/08/24

勉強しても勉強してもテストの点数が上がらない、成績が上がらないという生徒がいます。
まずは「学力」と「成績」が違うことを理解しなければならないのですが、今回の主旨はそこではなく、
勉強したはずなのに成果が出ない原因についてです。

問題を解いたときではない!

よくある勘違いの一つです。
問題をたくさん解いたら学力が上がる。
それ、間違いです。

いや、もちろん完全に間違いというわけではありません。
問題をたくさん解くことは大前提です。
必要です。
しかし、問題をたくさん解いたからと言って必ずしも学力が上がるわけではありません。
これを数学風にいうと、
問題を多く解くことは、学力が上がるための必要条件であるが十分条件ではない、ということです。

これは頭ではわかっているつもりの人も多いと思いますが、
解くだけではダメなのは、
成長していないからです。

数学の問題を解きました。
その後、考え方のポイントを押さえて
もう一度「自分で再現」できるようにしているでしょうか。
解法を一通り読んで、納得したら次へ進む。
それだけしかしない人の方が多いでしょう。
頭で理解することと、それを使えるようにすることには大きな差があります。
使えないと、試験の際に問題は解けないのです。

つまり、
①問題を解く

②解説を読んで理解する

③何も見ずに解答を再現してみる

これを大量にこなすことで学力が上がります。
①と②の半分くらいまでしかしない人が多数であると思います。

英語にしても、
ただ文法問題を解いて答え合わせをするぐらいではできるようになりません。
しっかり暗記をして、それを使っているでしょうか。
どのような場面で使われるかを説明できるでしょうか。
学力が上がるのは、
表現を覚えたとき、表現の意味を日本語で言えるようになったとき、それを使えるようになったときであって、
問題を解いたときではありません。

これを勘違いしたままだと、
いつまで経っても成果が現れないのです。

負荷をかける

勉強にしろ何にしろ、
成長するためには負荷をかける必要があります。
勉強で言えば暗記。
スポーツで言えば走り込み。
ゲームで言えばレベル上げ。
負荷なしに成長はありえません。
負荷をかけることが辛いことだとばかり思っている人は考え方を改めましょう。
慣れれば楽しくもなってきます。

空から自分を見る

公開日 2022/08/17

8月も半分を過ぎました。
受験生は学習状況はいかがでしょうか。
毎日10時間以上しているでしょうか。
諫高生は校内学習会での10時間を守るように言われているようですね。

ならば、塾生には11時間してもらいたいと思います。
効率が変わらないならば、同じ量だけ勉強すれば同じ分だけ学力は上がります。
(ほとんどの人は効率に差がありません)
これが競争に勝つための考え方です。

他人と競争しなくても良い

ただし、いつも他の受験生と比べてしまうならば別です。
比べる対象は他人ではなく、
昨日の自分です。
昨日と比べて何ができるようになったか?
昨日と変わらないのならば、それは現状維持ではありません。
衰退です。
昨日より、何か一つでもできるようになる。
それはとても大きな進歩です。
自信を持って続けましょう。

とどのつまり
これらのバランスを取ることが重要です。
他人を意識し過ぎてはいけない。
かと言って意識しなさ過ぎてもいけない。
それが、メンタルコントロールというものです。
学生のうちに身につけておくと良いです。

自分を俯瞰的に見る力

物事を客観的に見る力
このようなスキルがあると
些細なことで動揺しなくなります。
そして分析的に物事を見ることができます。
仮に模試の判定がDとかEだったとしても、冷静に分析して次へ繋げることができます。
AやBでも、浮かれることなく偶然を発見し、また一歩合格へ近づくことができます。
逆にこの力がなければ、
判定に一喜一憂し、結果だけに目が行き、
今自分がやるべきことを炙り出すという最も重要なことができなくなります。

生徒をサポートする側も同様です。
生徒がE判定だからと言ってビビりません。
生徒の行動・考えを知れば、これからC・B判定へ伸びていくE判定と、低迷し続けそうなE判定が見えてきます。
伸びるE判定の子には背中を押し続け、
今のままでは伸びる見込みがなければ現実を伝える必要があります。

もちろん、
物事を総合的に、分析的に見る力は受験以外でも必要なものです。
先月は安倍元首相が殺害される事件が起き、それから様々な問題点が指摘されていますが、一つ一つ問題は切り分けて考えねばなりません。
つまり、私には真実は分かりませんが、
いくら元首相が某団体と関係があったからと言って、
人を殺めた行為を肯定してはなりません。
問題を混ぜて混ぜて、重要なことを見落としてはならないのです。

「モチベ」は後付けでも良い

公開日 2022/08/10

将来の夢は何ですか?
どんな仕事に就きたいですか?
志望校はどこですか?

学生の頃はこういうことをよく訊かれますが、
これらに対して理由をつけて明確に答えられるでしょうか。
おそらく、大半の学生はそうでないと思います。
これは勉強への「モチベ」がないと主張する人への記事です。

モチベとは

motivation
動機、やる気と訳されます。
ある行動を起こす理由となるものですね。
医者になりたいから大学の医学部を目指すとか
サッカーをしたいから強豪の〇〇高校に進学したいとか。
しかしどちらかというとこの言葉は、
ネガティブな意味で使われることの方が多いです。

勉強するモチベがない

というふうに。

しかし、そういう子どもが(大人も)いるのは当然でしょう。
例えば小中高校生が、大人が職場でどのような仕事をしているか知っているでしょうか。
知っているとしてもなんとなくで、具体的な業務内容などはわからないはずです。
イメージが湧かないと思います。
だから、将来の仕事のために勉強した方が良い、
と言われたところで、なかなかそれがモチベとはならないのです。
そうではありませんか?

このように、
「モチベ」がない、という人へ
私から一つ提案があります。

そんなものなくても良い

自分の好きなことを探そうとか
自分に合った仕事をしようとか
言われますが、順番が逆です。

自分が今やっていることを好きになるんです。

つまり、最初から好きで勉強をやる必要はなく、
勉強を好きになろうとするということです。
勉強に限ったことではありません。
文化祭ってなんか面倒臭そうって思っていても、原則として参加しないといけません。
それならば、それを楽しむ努力をした方が良いです。
仕事をしたくないかもしれませんが、働かざるもの食うべからず。
就いた仕事は責任を持って取り組むべきです。
それなら文句ばかり言わずにどうしたら楽になるか、どうしたら楽しくなるかを考えた方が有意義です。

そして、
勉強をやりながらだんだん「モチベ」が湧いてくるわけです。
数学がわかるようになってきた、もっとたくさんの問題を解けるようになりたい、と。
仕事に慣れてきたが、もっと改善の余地があるからこうしていきたい、とか。
自分の置かれた環境に適応していくんです。
そうすれば自ずと「モチベ」は生まれてきます。

一番最初は、
本当に些細なきっかけでも良いです。
他の人に自信を持って話せるような、立派な動機なんて必要ありません。
話す必要が出てきて、自分をよく見せたいのなら、作って話せば良いだけのことです。
それに、すべての行動に理由がある人なんて
見たことありませんよね。

ちゃんと話し合いましたか?

公開日 2022/08/03

この時期、どこの学校も三者面談が行われています。
受験生は志望校やこの夏に学習することの確認、それ以外の生徒も1学期の結果を受けて今後やるべきことを話し合ったと思います。
私から生徒とその保護者の方へお願いしたいことは、
親子で方針を確認・共有しておくことです。
これは受験勉強以前に重要なことです。

・どの学校を目指すか(国公立か私立か)
・プランB、プランCを用意しているか
・浪人の可能性はあるか

などをきちんと話し合ってほしいと思います。
プランBとは、第一志望校へ届かなさそう、または届かなかった時にどうするかということです。受験直前になってバタバタしないように決めておきます。

また、「話し合い」をすべきところを一方的な押し付けになってしまっているご家庭もあります。
生徒側がすべきことは、
・自分の希望を素直に伝えること
・情報を集め、実現可能性を共に考えること
などでしょう。
一方保護者側は、
・子の考えを受け入れること
・家庭の事情を話し、解決策を考えること
が重要です。
対等に話し合いましょう。
15歳はもう自分で考える力を持っています。
意見がぶつかり合う時には、妥協点を探ってください。

例えば
「自分は私立の学校に行きたいのに理由もわからず親から反対される」
「大阪より遠いところへは絶対に行ってはダメ」
のような話はよく聞きますが、
大抵親と子どちらにも落ち度があります。お互いコミュニケーション不足です。
何より、このような状況では

ほぼ、うまくいきません

生徒の成績は伸びません。
第2志望どころか第3志望、第4志望の学校になります。
それくらい、人間関係は影響を及ぼします。
逆に、
「好きな学校へ行っても良いと言われている」
「最初はA大学が良かったが、金銭面等を話し合った結果B大学を目指すことにした」
というように納得感、認められているという感覚がある生徒は
伸びやすいです。

まだ十分に話し合っていない、という方々は
今すぐに準備し始めていただきたいと思います。

頭が良いとはなんなのか

公開日 2022/07/27

学校にいる限り、「頭の良さ」というのは良くも悪くも意識せざるを得ません。
しかしこの「頭が良い」とは一体何なのでしょう?
このテーマに限りませんが、
頭が良いことの定義が人によって少しずつ異なるので大体話が噛み合いません。
この記事は「自分は頭が悪い」と思い込んだり、不安になっている人のための記事です。
結論を先に書くと、全く心配はいらない、です。

そもそもなに?

頭が良いとはどのような状態を指すのでしょうか。
テストの点数が良いことでしょうか。
IQが高いことでしょうか。
中学生や高校生が想像するのはこの辺りだと思います。
大人もこのような数値で子どもを測りますもんね。
しかし頭の良さにももっと種類があります。
正確には範囲を広げて、「身体の良さ」でしょうか。
例えば、
手先が器用であったり、料理の要領が良かったり、他の人の気持ちを察するのが上手であったり。
これらも頭の良さではないでしょうか。
頭と身体と分けるのがよくないのかもしれませんね。
テストの点数が平均点以下だったとしても、テストが得意な人よりこれらが上手にできる人はたくさんいると思います。何でもできる(ように見える)人もいますがそんなのは極々まれです。
テストで測れる能力なんて高が知れています。
言いたいのは、
頭の良さなんて対して変わらない
ということです。

十で神童十五で才子、

二十過ぎればただの人。
っていう言葉があります。
幼少期に並外れた能力を発揮した人でも、大人になれば平凡になることがよくある、という意味です。
というよりは、その人に皆が追いつくという表現の方が正しいかもしれません。
子ども時代にできることに差があるのは、ほとんどは成長スピードの違いだと考えて良いでしょう。
子どもの時に周りよりできるからと言って鼻を伸ばしていると、大人になって追い抜かれるということでもあります。

では大人になってどこで差がついていくかというと、環境・習慣です。
子ども時代に学校の勉強に励んで成果を出した人は、何かへ向けて継続する力をつけていますし、友人など周りの人もそのような人が多いです。そういうのが当たり前になっているから、大人になっても成果を出しやすいということです。
もちろんこれは学校の勉強に限りません。
何だって良いと思います。
何か一つのことに打ち込むことが大事ですね。
何よりも行動すること。

先輩の話の鵜呑みは危険

公開日 2022/07/23

いつも通り水曜日にブログをアップしようとしていたのですが、海外からサーバーへのアクセスを制限され遅れてしまいました。楽しみに読んでくださっている方には申し訳ございません。
以下、記事本文です。

受験本番と言われる夏がやってきました。
難関を目指している生徒は言われるまでもなくすでに本番モードではあると思いますが、この期間はいつもよりも自分に必要な勉強をする時間が取れるので必ず「具体的な」目標を立てて実行しましょう。

合格体験記

同じ学校の先輩の合格体験記を読むことがあると思います。
あるいは実際に話を聞くことがあるでしょう。
いろいろな助言をもらいます。
例えば、
〇〇という参考書を3回やったら合格した、とか
△△の単元は1週間集中してやれば終わる、とか
夜にせずに朝勉強したほうが良い、とか。

模試の判定が返ってきて結果が芳しくないと、焦って方法を変えたり他人の真似をしようとしてしまうことがあります。
そういうのをそのまま鵜呑みにするのはよくありません。
このような助言の正しい認識の仕方を知っておきましょう。

前提が全く違うことを知る

そもそも、全く同じ人間はいません。
それまで育ってきた環境などが違うので当然です。
つまり、それは学習面についても言えます。
例えば、
ある問題集を3回やったとして、全く同じ成果が出ることはまずありません。
その方法で成功した先輩は、学校の授業を受けた時点でかなり理解度が高かったのかもしれません。
練習して計算スピードを上げてから取り掛かったかもしれません。
いずれにせよ、その問題集をやる以前に積み上げてきたものが違えば、それにより学習効果は大きく変わります。
現時点での習熟度や本人の理解速度、目指すレベル等々を考慮した上で何を勉強すべきかは決まってくるのです。

サンプル数が小さい

前提が違うからといって、特別その勉強が悪いわけではありません。
ただこれをサンプル数の観点から見てみると参考にはできません。
どういうことかというと、
例えばあるクラスで
A君は国語の点数が50点で数学の点数が80点でした。
対してB君は国語の点数が90点で数学の点数が40点でした。
だから、「国語の点数が低い生徒ほど数学の点数が高い」と言えるでしょうか。
そうはなりませんよね。
少なくとも、そのクラス全員の結果を反映させねばなりません。

A君とB君以外は国語が高いほど数学も高いかもしれませんからね。

つまり、ある人の勉強法が自分にとっても良いかどうかをそれだけで判断するのは誤りであるということです。
サンプル数n=1の情報です。
だから、もし参考にするのであればサンプル数の多い、
すなわち多くの人が実践した結果効果の出ることが比較的多かったものを採用するほうが良いということです。

それでは勝てない!

次に書くことは、向上心がある、成長意欲のある人向けです。
サンプル数の多い成功事例は確かに効果の出ることが多いです。
しかし、それを実行しただけで他人を上回ることはありません。
同じことを実行した人とは差が少ないですし、その方法を生み出した人には決して勝てません。
なぜなら、その人はその方法にたどり着くまでに様々に試行錯誤したからです。
その方法をそのまま真似て実行した人とは経験量が桁違いである、ということです。



模試のやり直し

公開日 2022/07/13

定期テストや模試が終わりましたが、生徒の皆さんはもう復習は済んだでしょうか。
テスト訂正ノートが宿題になっていることも多いと思いますが、今回はテストの復習の時にやるべきだけどほとんどの人がやらないことを書いていきます。

ほとんどの人がやること

・もう一度問題を解く
・解答のポイント、なぜそうなるかを調べて書く

この二つは多くの人が行うと思います。
たまに上しかしていない人もいますが。
生徒の訂正ノートを読むと、大体は問題用紙と自分の解答用紙を貼り、テストの時に解けなかった問題を解き、ポイントをちょっと書き込んで終わりです。
解答の核まで書けていれば一応の及第点ではあります。
しかし、これから書くことを実行すればテストのやり直しをより効果的にし、周囲に差をつけられます。
大学受験を目指すのであれば、それは競争ですのでぜひやっていただきたいです。
特に模試の時には実行してください。
2点挙げますが重要な点は
先につながるやり直し
です。

①類題を解け

定期テストレベルだと、「ほぼ完全に見たことある問題」が多いです。
数学ならば教科書の章末問題、
国語や英語ならば教科書の文章
がそのまま出題されますね。
しかし模試は違います。
全く同じ問題はありません。
(見かけは)初めての問題です。
読んだことのある文章が出てくるわけではありませんよね。
つまり、国語や英語では初見の文章を読んで理解できますか?と問われます。
数学では教科書でやったことを理解した上で、それを応用できますか?ということです。

となると、その模試の問題だけをやり直したところで、
次に活かせるでしょうか?
出題された文章はそのまま入試に出ますか。
見た目が全く同じ数学の問題が出ますか。
違います。
もう二度と同じ問題は出ません。
だからやるべきことがあります。

国語や英語の文章ならば、その文章の内容を理解することは当然として、
・どのような思考過程でその解答に至るのか
・どのような点に注意して読めば論点を理解できるのか
など、似たような他の文章を読む時にも通づるような復習をしましょう。
数学ならば、
・問題の核を捉え、関連する問題を参考書等で解く
ことが有効でしょう。
模試の問題の復習だけだと、その問題にしか対応できない可能性が高いです。

②2回目のやり直し

1回目のやり直しは多くの生徒がします。
では2回目は?
全体の5%もいないのではないでしょうか。
チャンスです。
予言します。
今の高3で、この7月の模試を来年2月時点で80%以上解ける人は高3の10%もいないでしょう。
当たらなかったら大阪屋の焼肉を奢るので許してください。
それだけ、1度やったことを間違いなく再現できるように勉強している人は少数だということです。
逆に言えばそれができれば成績は上がりますし志望校合格は叶います。
だからチャンスです。
1週間後か2週間後か、1ヶ月後でも良いので2回目の解き直しをしてみましょう。



7/18~31について

塾長が休暇を取るため、代わりの講師として田中優一先生に指導していただきます。

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田中優一
1991年生まれ
御館山小→明峰中→諫早高→九州大 理学部→九州大学大学院理学府博士前期課程修了
趣味:音楽鑑賞、ボードゲーム観戦、天体観測など
特技:プログラミング
一言:生徒の皆様の一歩一歩のサポートに尽力させていただきます。よろしくお願い致します。塾長の弟です。
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この期間中、特に日程に変更はございません。
平常通り授業を行います。

連絡先に関して
こちらも平常通り、基本的には公式LINEの方へご連絡ください。

海馬、使ってる?

公開日 2022/07/06

7月に入りました。
高3生は部活を引退した生徒がほとんどで、自習時間は週30時間を超える生徒が増えました。
長期戦になるので規則正しく過ごし、学習を習慣化しましょう。
今日は脳の話です。

海馬とは

学習において重要な役割を果たす脳の部位です。
記憶力に関わっており、新しい情報を整理整頓する機能を持ちます。
記憶は数秒から数十分、数時間とどめておく短期記憶とそれより長い間おぼえておく長期記憶がありますが、海馬は特に短期記憶に関係しています。おぼえたことが海馬で仕分けされ、重要だと判断したものを大脳新皮質という部位へ送り長期記憶化します。

海馬を使う機会が減る?

記憶力が弱い(または弱いと思い込んでいる)人は、もしかするとこの海馬を使う機会が少ないのかもしれません。
海馬は脳の中で唯一鍛えることができる部位だと言われています。
日頃おぼえることが苦手だと思っている人は習慣的に覚えるということをしていない、というのが私の仮説です。些細なことの積み重ねは大きな変化をもたらします。

普段の生活で、短期的に「覚えよう」とすることがどれくらいあるか。
スマホやパソコンなどデジタル端末の普及で覚える必要がかなりなくなりました。
例えば、
電話をするためには相手方の電話番号を覚えておくか、電話帳で調べてそれを一時的に記憶し番号を打っていました。今はスマホの電話帳やウェブの電話番号を押すだけで簡単にかけられます。
カーナビがあるので、事前に地図を読んで国道〇〇号線とか、どこどこの角を左に曲がるとか覚える必要もありません。指示に従えば(ときどき変なところへ連れて行かれますが)いつの間にか目的地へ着くことでしょう。
知りたいことはいつでもどこでもすぐに検索して調べることができるので、積極的に覚えようとしない限り覚えることはないでしょう。

特に最近小中高生について気がかりなのは、プリントで授業されることが非常に増えたことです。
プリントで学習するメリットはあります。
もともとは板書を写すのに使った時間を考えたり問題を解いたりするのに使えます。
しかし、高校生はまだしも、小中学生にはデメリットの方が大きい気がします。
細かく見ると板書を書き写す時というのはすごく頭を使います。
先生が黒板に書いたことを、パッと見て(短期的に)覚えて、自分のノートに書き写します。
一時的に覚える量が多いほど黒板を見る回数が少なくて済み、書き終わるのも早くなります。
書き写す時は、黒板とノートでは大きさが違うので、その比を考えて文字の大きさや改行する場所などを決めねばなりません。きれいに書くためにバランスを考えます。
文字を書く動作もそうです。
プリントがなければ9年間でものすごい量をこなしますね。
これだけでも相当海馬は鍛えられると思います。

鍛える方法

前述のように、海馬は鍛えることができます。
生活の中で鍛える方法を紹介します。

①運動する
1日30分ほどの有酸素運動(息が上がらない運動)は効果的なようです。
朝夕の通勤通学でも十分取ることができますね。
特に朝日を浴びることがセロトニン分泌を促しストレスにも効果があるので、事情がない限り車で学校まで送ってもらうことはすすめません。歩きましょう。

②ちょっとしたことを覚えようとする
記憶が苦手な人は、そもそも覚えようとしていないと思います。
海馬は覚えようとしないと覚えてくれません。
例えば、電話番号やメールアドレス、アカウント名を入力する際にコピペしないで覚えて入力するなど。
板書と同じでとにかく少しの間記憶しておく、という動作を繰り返すことが大事です。

③よく眠る
睡眠が重要であることはもうかなり知られてきました。
これについては過去にがんばって書いたので読んでください↓
寝る子は育つ①
寝る子は育つ②
寝る子は育つ③

④冒険する
今はいろんな場所へ入るとすぐ怒られるようになってしまいましたが、新しい場所を探検することは非常に脳が鍛えられます。興味深いことにこれはゲームでも良いようで、3次元の世界を冒険するようなゲームは特に効果的です。マインクラフト面白いですよね。

ちなみにこれは大人になっても鍛えられます。
認知症予防にもなるので軽いトレーニングを日頃から行うと良いでしょう。

選挙を機会に

公開日 2022/06/29

もうすぐ参議院議員選挙です。
生徒から聞きましたが、選挙権のある高校3年生(誕生日が7月11日までの人)は学校でも期日前投票ができるらしいです。調べたら昨年の衆院選でも実施してたのですね。高校生にも是非投票してほしいと思います。
どこに、誰に投票するか決められないという人は、面白いものを見つけたので以下のリンクを参照してみてください。

早稲田大学マニフェスト研究所

各政党の公約を比較することができます。
どういったテーマが議論されているかがすぐにわかると思います。
近年は情報収集が選択的になりやすく、幅広い分野を知るためには能動的に行動する必要があります。政治・経済という面から世界を見て、将来の自分を考えるきっかけになり得ると思うのでよく読んでみると良いでしょう。
私も読みましたが、目先の問題も大事ですが、100年スパンで日本をどういう国にしていくのか、具体的な数字とともに書いてほしいなと思いました。

きっかけが少ない

将来どういうふうになりたいか決めるとまでなくとも、候補や興味のあることを生徒によく訊くのですが、ほとんど返事がない(内容がない)人がまあまあいます。
無理もないと思います。
小学校から中学校までの9年間、狭い学校の中で朝から夕方まで同じメンバーで同じ事をやっているわけですからね。高校は実業系もありますが、70%超は普通科です。
なんとなく、このまま他の皆んなと同じようになるんだろう、という感覚があるのは当然と言えます。
(それ自体が悪いわけではありませんが)
中学では職場体験があるとしてもたった3日間、総合の時間などで将来のことを考える機会はないことはないですが、非常に少ないです。
そもそも知っている事が少ない中で、将来どうするか?と訊かれても困るのは不思議ではないですね。
私も中学生のときに知っていた職業といえば、身近な先生や医師看護師、公務員、農家、お店にいる人、工場でものづくりしている人、そのくらいの認識だったと思います。他にも知っていたことはありますが、具体的なイメージとは程遠いですね。

これは就活生でも同じではないでしょうか。
インターンなどもあるわけですが、学生生活のどこかを削って時間を作っています。青田買いもよく問題になりますね。とにかく選択するための時間が少ない。十分知るための時間がなく卒業、就職という学生は少なくないと推測します。


つまり、このような制度が変わらない限りは、
自分達から動かねばならないということです。
自分の意思を以て動いている人は非常に生き生きとしています。
学校に行くのがもったいないくらいです。
あれやれこれやれと指示しなくともいつの間にかやっています。
そうなるようなきっかけを作るのが大人の責務であり、私の責務であると勝手に思っています。
そして学生は、ほんの少しでも興味を持ったものから調べて行動してみることをすすめます。
または、本当に興味のあるものがないというのであれば、
目の前にある勉強を一所懸命に取り組んでください。
そうすれば自ずから、興味が生まれてくるものです。