先輩の話の鵜呑みは危険

公開日 2022/07/23

いつも通り水曜日にブログをアップしようとしていたのですが、海外からサーバーへのアクセスを制限され遅れてしまいました。楽しみに読んでくださっている方には申し訳ございません。
以下、記事本文です。

受験本番と言われる夏がやってきました。
難関を目指している生徒は言われるまでもなくすでに本番モードではあると思いますが、この期間はいつもよりも自分に必要な勉強をする時間が取れるので必ず「具体的な」目標を立てて実行しましょう。

合格体験記

同じ学校の先輩の合格体験記を読むことがあると思います。
あるいは実際に話を聞くことがあるでしょう。
いろいろな助言をもらいます。
例えば、
〇〇という参考書を3回やったら合格した、とか
△△の単元は1週間集中してやれば終わる、とか
夜にせずに朝勉強したほうが良い、とか。

模試の判定が返ってきて結果が芳しくないと、焦って方法を変えたり他人の真似をしようとしてしまうことがあります。
そういうのをそのまま鵜呑みにするのはよくありません。
このような助言の正しい認識の仕方を知っておきましょう。

前提が全く違うことを知る

そもそも、全く同じ人間はいません。
それまで育ってきた環境などが違うので当然です。
つまり、それは学習面についても言えます。
例えば、
ある問題集を3回やったとして、全く同じ成果が出ることはまずありません。
その方法で成功した先輩は、学校の授業を受けた時点でかなり理解度が高かったのかもしれません。
練習して計算スピードを上げてから取り掛かったかもしれません。
いずれにせよ、その問題集をやる以前に積み上げてきたものが違えば、それにより学習効果は大きく変わります。
現時点での習熟度や本人の理解速度、目指すレベル等々を考慮した上で何を勉強すべきかは決まってくるのです。

サンプル数が小さい

前提が違うからといって、特別その勉強が悪いわけではありません。
ただこれをサンプル数の観点から見てみると参考にはできません。
どういうことかというと、
例えばあるクラスで
A君は国語の点数が50点で数学の点数が80点でした。
対してB君は国語の点数が90点で数学の点数が40点でした。
だから、「国語の点数が低い生徒ほど数学の点数が高い」と言えるでしょうか。
そうはなりませんよね。
少なくとも、そのクラス全員の結果を反映させねばなりません。

A君とB君以外は国語が高いほど数学も高いかもしれませんからね。

つまり、ある人の勉強法が自分にとっても良いかどうかをそれだけで判断するのは誤りであるということです。
サンプル数n=1の情報です。
だから、もし参考にするのであればサンプル数の多い、
すなわち多くの人が実践した結果効果の出ることが比較的多かったものを採用するほうが良いということです。

それでは勝てない!

次に書くことは、向上心がある、成長意欲のある人向けです。
サンプル数の多い成功事例は確かに効果の出ることが多いです。
しかし、それを実行しただけで他人を上回ることはありません。
同じことを実行した人とは差が少ないですし、その方法を生み出した人には決して勝てません。
なぜなら、その人はその方法にたどり着くまでに様々に試行錯誤したからです。
その方法をそのまま真似て実行した人とは経験量が桁違いである、ということです。



模試のやり直し

公開日 2022/07/13

定期テストや模試が終わりましたが、生徒の皆さんはもう復習は済んだでしょうか。
テスト訂正ノートが宿題になっていることも多いと思いますが、今回はテストの復習の時にやるべきだけどほとんどの人がやらないことを書いていきます。

ほとんどの人がやること

・もう一度問題を解く
・解答のポイント、なぜそうなるかを調べて書く

この二つは多くの人が行うと思います。
たまに上しかしていない人もいますが。
生徒の訂正ノートを読むと、大体は問題用紙と自分の解答用紙を貼り、テストの時に解けなかった問題を解き、ポイントをちょっと書き込んで終わりです。
解答の核まで書けていれば一応の及第点ではあります。
しかし、これから書くことを実行すればテストのやり直しをより効果的にし、周囲に差をつけられます。
大学受験を目指すのであれば、それは競争ですのでぜひやっていただきたいです。
特に模試の時には実行してください。
2点挙げますが重要な点は
先につながるやり直し
です。

①類題を解け

定期テストレベルだと、「ほぼ完全に見たことある問題」が多いです。
数学ならば教科書の章末問題、
国語や英語ならば教科書の文章
がそのまま出題されますね。
しかし模試は違います。
全く同じ問題はありません。
(見かけは)初めての問題です。
読んだことのある文章が出てくるわけではありませんよね。
つまり、国語や英語では初見の文章を読んで理解できますか?と問われます。
数学では教科書でやったことを理解した上で、それを応用できますか?ということです。

となると、その模試の問題だけをやり直したところで、
次に活かせるでしょうか?
出題された文章はそのまま入試に出ますか。
見た目が全く同じ数学の問題が出ますか。
違います。
もう二度と同じ問題は出ません。
だからやるべきことがあります。

国語や英語の文章ならば、その文章の内容を理解することは当然として、
・どのような思考過程でその解答に至るのか
・どのような点に注意して読めば論点を理解できるのか
など、似たような他の文章を読む時にも通づるような復習をしましょう。
数学ならば、
・問題の核を捉え、関連する問題を参考書等で解く
ことが有効でしょう。
模試の問題の復習だけだと、その問題にしか対応できない可能性が高いです。

②2回目のやり直し

1回目のやり直しは多くの生徒がします。
では2回目は?
全体の5%もいないのではないでしょうか。
チャンスです。
予言します。
今の高3で、この7月の模試を来年2月時点で80%以上解ける人は高3の10%もいないでしょう。
当たらなかったら大阪屋の焼肉を奢るので許してください。
それだけ、1度やったことを間違いなく再現できるように勉強している人は少数だということです。
逆に言えばそれができれば成績は上がりますし志望校合格は叶います。
だからチャンスです。
1週間後か2週間後か、1ヶ月後でも良いので2回目の解き直しをしてみましょう。



それは本当に効率が良いのか

公開日 2022/06/22

昨今は効率というものが神格化されてきているような気がします。
かく言う私も、何事もいかに早く、上手に事を済ませるかは常に考えていますが、
一見「効率が良さそう」でも実際にはそうでないこともあります。
これを学習の観点から見てみたいと思います。

早く単語を覚えられるか

例えば英単語を早く覚えられる方法はあります。
基本的には思い出す回数を増やしたり、寝る前に勉強したりすればある程度効率よく覚えられます。そういった情報はすでに巷に溢れているので今回は書きません。
実行すれば確かに覚えられるのですが、この実行する側にある視点がしばしば抜け落ちており、それが長期記憶化です。
つまり、学校の単語テストなどの急場凌ぎにはなるのですが、受験対策として、さらには一生物の教養として身につけるには至らないのです。
ではどうするかというと、単語の場合は単語帳で勉強が終わってはいけません。
文章の中で何度も出会ったり、実際に経験してみてそれが少しずつ自分のものになっていきます。
例えば、
biomimetics (バイオミメティクス、生物模倣)という単語がありますが、オナモミからマジックテープ、カワセミから新幹線が生まれたことを知り、それを実際に見てみたり、より詳しく調べてみる、という過程を経ると忘れることの方が難しくなります。

問題の解法を忘れてしまう理由

数学をいくら勉強しても伸びない人は、目の前の問題を解くことだけに集中しています。
例えばテスト前に範囲指定してある問題をひたすら解いていくと思います。
確かに、高校までの定期テストや中学ではそれが通用します。
ほとんど見たことがある問題しか出題されないからです。
要するに上で書いた単語テストの勉強に似ているわけです。
完全にはわかっていなくても、とりあえず答えの出せる手続きを覚えていけばテストでは解答できるので、本人はその勉強したことがわかったつもりになっています。
1、2回解けばできるので、一応「効率」は良いのです。

しかし、これも単語と同じようにすぐ忘れてしまいます。
ではどのような勉強をすべきかというと、基本を理解することです。
わかりやすくするため例題を出します。

$$4^x – 5 \cdot 2^{x+1} – 24 = 0$$

この方程式を解くときに最初苦戦する人が多いのが、指数の処理です。
\(4^x \) を \((2^2)^x = (2^x)^2 \) と変換したり、\(2^{x+1} \)を\(2 \cdot 2^x \) と変換する必要があります。
このとき、この処理をそのまま覚えようとしていてはすぐに忘れてしまうか、または応用が効きません。
\((2^2)^x = (2^x)^2 \) という変形ができるのをしっかり理解するべきです。
例えば、\((2^3)^4=(2^4)^3\) と変形できることを試してみたり、\(\)
そもそも\(2^3=2\cdot2\cdot2\)であるから、
\((2^3)^4=(2^3)\cdot(2^3)\cdot(2^3)\cdot(2^3)=2^{12}\) と計算でき、さらにそれを一般化して
\((a^m)^n=a^{mn}\) が得られます。
指数法則を理解するわけです。

この一見「効率の悪そう」な勉強は、定期テストが終わった後も威力を発揮します。基本を丁寧に勉強しているので、すぐに忘れるようなことはありません。とりあえず問題を解くよりもむしろずっと効率が良いのです。

時間をかけてじっくりと

このような視点が蔑ろにされていないかが私の懸念するところです。
何でもスピード重視、効率重視で進めた結果、皮肉にもその逆の結果が生まれてしまいます。
手間暇をかけてじっくりと育てれば、その果実は大きく実り、土もまた次の世代を育む力を持ちます。手間を惜しむと、その果実は大きいかもしれませんが次の世代は育たないでしょう。
効率よく覚えたものは、効率よく忘れてしまうのです。

模試結果票の見方

公開日 2022/06/08

高総体お疲れ様でした。
塾生から様子や感想を聞きましたが、
まさに青春って感じですね。
多くの高3は引退していよいよ受験一本となります。
切り替えていきましょう。
部活で培った体力と精神力は受験勉強でも役に立ちます。

今回は受験生の基本の一つ、
模試の結果の見方を解説します。

意外と知らない

模試の結果票とはこのようなものです↓

これはベネッセの共通テスト模試です。
他にも駿台や河合塾などの模試や記述式模試を受験しますが今回はこれを例に説明します。

①成績

ここには得点(素点)、平均点、偏差値などがあります。

青い四角で囲ったところに
「5−8文系」とか「国数英文系」と書かれていますが何かわかるでしょうか。
5−8文系は、
5教科8科目、つまり国・数2・英・社2・理2での集計です。
(理系なら5教科7科目)
国数英文系は3教科ですね。
5−8の方は主に国公立大学志望者用です。
国公立大学は共通テストで全科目を課すところが多いのでこれを一つの参考数値にします。

3教科の方は主に私立大学志望者向けです。
私立大学は1〜3教科で受験できるところがほとんどだからです。

偏差値は、
その目的は異なる教科間で自分の位置を測るためのものですが今回は説明を省きます。
こちらの記事をご覧ください。
偏差値の見方
偏差値とは

②成績推移

ここでは過去の同じベネッセの模試結果の推移をみることができます。
左がマーク模試(共通テスト模試)
右が記述模試です。
上の表は得点と偏差値の推移で、下がその得点または偏差値をグラフに表したものです。

これからわかるのは、第一志望校の
前年の合格者との比較です。
折れ線グラフは自分の得点推移と前年合格者の平均点の推移です。
一目で自分がどの程度成績を上げるべきかがわかります。
グレーの帯は前年合格者の学力層です。
つまり、この中に入れるようにしよう、ということです。

③合格可能性

志望校ごとに集計した成績です。
ご存じA〜E判定や志望者内順位、分布を見ることができます。
ライバルがどのような成績を取っているのかがわかるということです。
黒い四角がたくさんありますが横軸が人数で、白い四角になっているところが自分の位置です。
自分より上に山があるなら、それは越えねばならない山です。

アルファベットでの判定ですが、
A・・・合格可能性80%以上
B・・・同60%以上80%未満
C・・・同40%以上60%未満
D・・・同20%以上40%未満
E・・・同20%未満
となっています。

記号でわかりやすいですが、
わかりやすいものには罠が潜んでいることもしばしばです。
Aでも落ちます。場合によってはEでも合格します。
我々はある程度経験があるので、
D判定だが今後伸びが期待できそうな生徒、
逆にB判定だが危ない生徒がわかります。
機械での判定ではなかなかわからないことですね。
鵜呑みにしないようにしましょう。
一番大事なのは、
志望校の過去問で合格点を取れそうかどうか、です。




一通り説明を終えました。
今はスマホ用アプリで模試の成績を見れるようになったので、紙の成績表は見ない人が増えたのではないでしょうか。
アプリの成績表は、情報が少なすぎて(成績表自体が断片的なのに)断片的な情報しか見ることができません。
一度はじっくりと紙の成績表を「読んで」みましょう。
共通テスト対策になりますよ。

数学が苦手な理由

公開日 2022/05/25

数学という科目は最も個人差の出やすい科目です。
ある人は教科書を読むだけで章末の問題が解ければ、
ある人は何度説明を受けてもちょっと問題文が変わるとわからなくなります。
なぜそのようなことがあるのか。
要因は一つではありませんが、大きなものを説明します。

「同じ」とみなす

「同じ」というのは人によって認識に差があります。
例えばこれ。

この二匹のイルカは、「個体」という目線では「違う」個体です。
背びれの形や模様なども違います。
人もそうですね。
しかし目線を上げて「種」として見ると、
バンドウイルカという「同じ」種になります。
さらに
イルカもヒトも、哺乳類という点では「同じ」になります。
これを図にすると下のようになります。

または下のようにも書けます。

このように、どのレベルの目線で見るかによって「同じ」か「違う」かは異なります。
大きな括り(上の図では外側、下の図では上の方)は抽象化を意味します。
ヒトやイルカなどが乳で子を育てるという共通点を抽出し、哺乳類と名づけています。
このように共通点を見出す抽象化が、学習する上で非常に重要な要素になります。

なぜ重要かをもう少し詳しく書きましょう。

高校数学で習う公式の一部を挙げます。

$$y=m(x-a)+b$$

$$y=a(x-p)^2 +q$$

$$(x-a)^2 + (y-b)^2 = r^2$$

数学が得意な人はこれらを「同じ」とみなします。
逆に苦手な人はこれらは関係のない「違う」ものとして捉えます。
この3つの公式の共通点は、平行移動です。
どれも次の説明で片付きます。
すなわち、関数f(x,y)=0 をx軸方向にp、y軸方向にq平行移動すると f(x-p,y-q)=0 となる。
以上です。
解説は書きません。
これが抽象化の例です。
とにかく今伝えたいのは、この1文が分かれば3つの公式を一つ一つ違うものとして捉える必要がなく、大して覚えることがない、ということです。
逆に言うと、
これを理解しないままでいるとそれこそ公式の「丸暗記」に終わり、覚えることが多いと感じ、すぐに忘れてしまうのです。

つまり、数学がいつまでたっても理解できない人はこの抽象化を行っていません。
中学数学からのつながりに気づいていない人も多いと思います。
高校数学には2次関数、三角関数、指数関数などありますが、すべては中学の比例・反比例や1次関数からつながっています。言うなれば、中学からずっと同じことを繰り返しているのです。

抽象化はヒトにしかできない

この抽象化というのは高度な技です。
$$x = 3$$
と書いてxと3は等しい、と言っても、
「xはxであって3とは等しいはずがない」のが普通の感覚です。
動物にはこれが理解できませんし(たぶん)、理解できないヒトがいるのも当然のことです。
ゆえにあまりに理解できない場合は数学から離れて他の得意なことを見つけるのも大事です。

その教材の使い方あってる?

公開日 2022/05/18

学生の皆さんは毎日何かしらの教材を使っていますが、
それがどのような目的の教材なのかを理解しているでしょうか。
次のような質問に答えられるでしょうか。

✅その教材から得られるものは何か。
✅どのような難易度の教材なのか。
✅その教材を使う時期は?

これらを把握せずに使い続けると、
効果は半減、いやそれ以下でしょう。
その時間がもったいないです。
今日は教材の種類とその使用法についての解説です。

3種類

教材は大きく分けて以下の3種類存在します。

①解説書
②演習書
③過去問

それぞれについて解説します。

①解説書

つまり教科書のようなものです。
例えば、

このような公式事典や文法書、教科書の内容をより噛み砕いて説明されるものです。
使用目的は、ずばりインプットです。
・全体像の把握
・学習内容の理解を深める
・問題集の解説では不十分なところを補う
というふうに使います。

特徴としては、市販のものは教科書よりもわかりやすい編集であったり、口語調で書かれていたりするので読む人によっては教科書より使いやすい点があります。
また、入試を意識したより深い内容まで解説されるものもあります。

②演習書

言い換えると問題集です。

使用目的はずばり、アウトプットです。
解説書で学んだことを実際に使ってみるということです。
・学んだことの理解度チェック
・知識の活用の仕方を学ぶ
・多くの問題に触れて、慣れておく
といった使い方をします。

特徴は、問題量が豊富であることと、解説は簡素なものが多いです。

③過去問

入試や資格試験の過去問です。

使用目的は、過去問の研究・演習です。
・どのような難易度の問題が出題されるのかを知る
・傾向を知る
・問題形式に慣れる
などの目的で使います。

特徴は演習書に似ており、解説は簡素です。
3〜15年分、中には50年分の問題が掲載されているものもあります。

NG行動

それぞれの特徴、使用目的がわかったことで、
するべきでない使い方も見えてきます。
学生が陥りがちなNG行動の例を挙げます。

レベルの合わない教材を使う

受験生にありがちです。
自分の習熟度に合ったものを使わないと非常に勉強効率が悪いです。
例えば、
ほぼ全て知らない単語が載っている単語帳で単語を覚えようとする。
受験勉強開始時にいきなり過去問演習をし始める。
など。
目安として、半分くらいはすでにわかるものを使った方が良いです。
演習書で自分のレベルを把握しましょう。
自分ではわかっているつもりでも、実はそうではないことは多々あります。

演習書ばかり使う

問題を解くばかりの人、いないでしょうか。
たくさん解くことは大事です。
しかし、そればかりでは考える力は伸びません。
特にこれは、抽象的な思考が重要な数学で差がつきます。
解説をしっかり読み込んでいるでしょうか。
また、演習書の解説では不十分な点を解説書で補っているでしょうか。
問題集だけでは、どうしても断片的な解説にとどまります。
ですから深い学習ができておらず、いわゆる応用問題に手も足も出なくなります。
問題集で解いた問題そのままの問題しか解けない、ということです。
学校で配られる教材は、ある理由で解説が雑なものが多く、つまり学校の先生の授業での解説を前提として作られているので独学には向きません。


道具には使い道がある

世の中の道具にはたいてい、「使い道」があります。
何か目的があって、それに達する手段です。
想定されたもの以外の使い道をすることもできますが、受験の世界では不要です。
目の前に定規があるのに、わざわざノートを使って直線を引きませんね。
目的をはっきりさせ、それに適う道具を使うことが大事です。
決まったことを決まったようにやらないといけないのに、
「思考力」を育てようとする矛盾も起こっているわけですが。

GWは遊べ(?)

公開日 2022/05/04

皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は特に変わり映えなく日常を過ごしています。
街には人出が増え、ようやく活気が戻ってきたという印象です。
5月5日はこどもの日です。
昨年も同じことを書いた気がしますが、やっぱり鯉のぼりを見ることが少なくなりました。
このまま姿を消してしまうのも時間の問題かと思うとやや寂しい気持ちです。
柏餅でも買って食べましょうかね。

高校生は休み明けに今年度最初の定期テストがありますね。
中学校もあるところはあるようです。
塾講師の立場としては
学校が休みだからたくさん準備できますね!
と言いたいところではあるのですが、
中高生としては
なんで休み明けがテストなの?
と思うのではないでしょうか。
私がそうでしたからね。
どうせならGW前にテストしてくれたら良いのに。
そうすればテストのことなんか気にせず遊べるのに。
大人だってそうだと思います。
休日前に仕事で何か問題が発生したらそれを解決せぬまま休みに入るのはいやですよね。
ずっとモヤモヤした感じです。
心が休まりません。
GW直後にテストをするというのは
何か生徒を学校に縛り付けようとしてるように見えます。
「勉強する時間を確保してやったぞ」みたいな。
いや、そうではないとは思いますが、
もう少し配慮してもよいのではと思いますね。

遊んだ方が頭が良くなる(?)

私は塾講師ですが、あえて言いますと
GWはたくさん遊んで良いと思います。
机にかじり付いて勉強ばかりしているとむしろ頭や体、心にも悪いと思います。
自然の中に遊びに行ってはいかがでしょうか。
例えば虫取りとか。
虫取りはとても頭と体を使う遊びです。
木の幹や葉っぱをよーく観察しないと虫は見つかりません。
腐葉土や樹液が発酵したにおいを頼りに探します。
舗装なんてされていない、草や木が生い茂った道なき道を上手にバランスをとりながら進まないといけません。
自分がどの方向に、どのくらいの距離を進んできたのかがわからないと迷子になります。
つまり
集中力、嗅覚、バランス感覚、空間認識力などが養われます。
空間認識力とは、自分と対象との距離感をつかんだり、立体的なものの形状をつかんだりする力です。
地図を読んだり、学校の勉強では図形問題に取り組む時などに必要になります。
紙面上で、またはスマホやタブレットで見て考えて身につくような力ではありません。
ずっと画面を見ていては衰えるでしょう。
人間本来の感覚が失われていく、ということです。

遊んでいるときは、皆さんが思っている以上に
「勉強」しています。
だから私は、GWくらい外で遊びまわることは止めようと思いません。

自習時間ランキング

公開日 2022/04/27

毎週高3生の自習時間ランキングを掲載しています。

先週、部活生の1位は20時間、非部活生の1位は33時間でした。
6日間の合計なので、1日あたり3〜5時間程度ですね。
部活生は高総体前ですがよくやっていると思います。
今の頑張りは部活引退後の伸びにつながります。

このように短いスパンで記録していくと、
自分の時間の使い方が見えてきます。

来年の共通テストまであと37週間ですが、
例えば週にたった1時間の勉強時間の差しかなくても、
入試までには37時間の差がつきます。

37時間あれば何ができるか。
12問収録の英語長文の教材が1冊、余裕を持って取り組めます。
1問15分で数学の問題に取り組めば、
148問になります。

このような教材1冊ができちゃいます。
1日1時間の差もあれば、入試までに260時間の差です。
その重みが理解していただけるのではないでしょうか。

時間の使い方

これは受験生の永遠のテーマです。
どのようにして時間の捻出するか考えてみましょう。

何をしようか、とその場で考えない

やるべきことが多い時は、計画が重要です。
今週何に取り組むか、今日何に取り組むか。
さらに、どの時間にそれをやるか。
そこまで自分で決めていれば、迷いがなくなり、
結果として使う時間が増えます。
週に一度、まとめて計画してしまいましょう。
そのために高3生には手帳を使ってもらっています。
生かすも殺すも、あなた次第。

細かい時間をどう使う?

例えば登校直後とか、休み時間とか、通学の電車やバスの中とか。
そのような隙間時間をどう使うか・・・

ということよりも大事なことがあります。
学校の授業時間です。

細かいことを考えるよりも、
大きな時間を占める授業時間の使い方を改める方が有意義です。
家賃の高い家に住んで、細々とした生活費を削ると貧乏になります。
5分とか10分とか、そのような時間の使い方よりも先に考えるべきことがあります。

授業を「受けるだけ」になっていないでしょうか。
最近は学校の先生方も様々に工夫されていると聞きますが、
生徒の側も授業への取り組み方は考える必要があります。
授業は「参加」しましょう。

例えば、予習というのはそのためにします。
予習すれば、課題が生まれます。
なぜこれはこのように計算するのだろう?
というように。
それぞれが課題をもって授業に臨むことで、つまり問題意識を持って参加することで、自分が何に注意していればよいかがわかります。
自分の中の問題を解決する場にすれば良いです。

逆にこれなしに、まるで垂れ流しているテレビ番組を見ているかのように授業を聞いていては
時間だけが過ぎていきます。
それで勉強時間が足りないと嘆くのは滑稽なことです。

英単語の覚え方

公開日 2022/03/23

英単語の暗記で悩む生徒は多いです。
どのようにして覚えるのがよいかという質問は数えきれないほど受けてきましたので、参考のために書いておきたいと思います。

その前にまず覚えておいていただきたい前提があります。
それは、正解など存在しない、ということです。
最近はヒトの脳の研究により、記憶の仕組みからどのように憶えるのが効率的なのか、どのような時間間隔で学習すべきかなど少しずつわかってきているようです。そのような、一般的にはどのように行動すべきか、という正解のようなものはこれからどんどん解明されていくと思います。
しかし、あなたはその「一般的」なものに当てはまっているのでしょうか?
全員、生まれ育ちも違えば知っていること、経験したことも全く違います。
ある程度「一般的」であるでしょうが、自分にとっての最適解は自分にしかわからない、ということを自覚しておきましょう。

もう一つ。
覚えるというのには段階があります。

1、見たことがあるだけ
2、思い出そうとすれば思い出す
3、見た瞬間に理解できる

2ではなく3を目指す必要があります。
うーんっとこの単語の意味なんだったっけなーーー
えーーーーっとーーーー、あれだ!
とかやってたらいつまでも文章を先に読めません。
思い出すという感覚ではなく、
反応できるようにしましょう。
ここから覚え方の例を書いていきます。

少ない方がおぼえやすいか

多くの人が勘違いしていることがあります。
少ない方が覚え易い、ということです。
もちろん、100桁の数字と3桁の数字では3桁の方が覚え易いと思います。
しかしそれは、覚えようとする情報が無機質な場合です。
つまり、無意味な文字の羅列を憶えようとすると少ない方がよいわけです。
そうです。
英単語がなかなか覚えられないという人は、
それに意味づけせず文字列として憶えようとするのです。

たくさん憶えるには、
関連する情報量を増やすことが重要です。

同時にチェックするのは、
○日本語の意味
○発音(記号)
○品詞
○派生語
○例文
です。

例えば、
impress

○印象付ける、良い印象を与える(など)
○[ɪmprés
○動詞
○impression(名)、impressive(形)
○He impressed me as honest.(彼は私に正直者だという印象を与えた)
※weblioより

これらを一度に確認するのがよいでしょう。
もちろん、例文等すべて丸暗記しようとしなくても良いです。
自分にとって多すぎない程度に。

なぜ情報量を増やす方が良いかというと、
思い出すきっかけをたくさん用意するということだからです。

勉強中にimpressionが出てきたら、
ああ、impressという動詞もあったなあとか、
impressiveってなんだっけ?
ああ、activeは動詞のactの形容詞形だから、
impressiveは動詞のimpressの形容詞形だった、とか。
そういうふうに、思い出すためのトリガーをあちらこちらに散りばめることができます。
そうすれば、前述の「思い出そうとすれば思い出せる」という段階をこなすことができます。

覚え方を創る

自分で創ったら簡単には忘れません。
他の人の覚え方ではなく、自分で工夫するところがポイントです。

例えば、
私の手元の単語帳「システム英単語Basic」には、
通し番号711に「promote」
という単語があります。

先週の土曜日の授業で即席で作った思い出し方は、
「セブンイレブンが経済活動を促進させた。」
です。

はい、もう覚えましたね。
別に711という数字を一緒に覚える必要はなく、各単語に同じような思い出し方を創る必要もありません。
とにかく大事なのは、
意味づけすること自分で工夫するということです。

日本語は理解しているか

comprehensive
包括的な

「包括的」っていう意味わかりますか。
日本語でさえわからないのに英単語を覚えられるわけがありません。
まずは辞書で「包括的」を調べましょう。
「すべてをひっくるめること」のような意味が載っていると思います。
その調べるという手間も含めて思い出すきっかけになります。




ここで紹介したことがすべてではありません。
例を挙げ出したら切りがありません。
それだけいろいろなやり方があり、工夫の余地があるということです。
余裕のあるうちに試してみましょう。

受験勉強≠勉強

公開日 2021/03/16

現在進行で受験勉強をしている、またはこれから始める方向けの話です。
タイトルの通り、受験勉強と普通の勉強、学問としての勉強は全く異なります。
これを間違っていると、志望校合格は掴み取れません。

ここで勉強と受験勉強を定義しておきます。

勉強…本やインターネットで調べたり、人に教わるなどして教養を身につけていくもの。知的好奇心を満たすためのもの。

受験勉強…志望校合格へ向け対策を施すこと

何が異なるのか。

点数

受験勉強は点数が付けられるものです。
勉強は点数を付けません。
受験勉強、入試ではなぜ点数が付けられるでしょうか。

それは、入学者を公平に選抜するためです。
もし、本人がどれくらい勉強をがんばったのか、どれだけの時間をかけて準備をしたのか、どれくらいその学校へ通うことを望んでいるのか、という曖昧な指標で入学者選抜を行ったのであれば、それは到底公平なものにはなりません。
何時間勉強しているのか、常に誰かが監視して計測するのでしょうか。
本人の話し方で熱意を測るのでしょうか。
そのようなことは現実的に不可能ですよね。
同じ時間に同じ問題でどれだけ点数を取れたかを競うのは公平と言える選抜方法です。

目的

勉強というのは、必ずしも誰かから評価されるために行うものではありません。
自分の興味のあることを調べたり、さまざまな実験を行ったり。
知的好奇心を満たすためのものです。

一方で受験勉強というのは、志望校合格が目的です。
そのための手段です。
だから、入試当日にできるだけ多くの点数を取るために戦略的に勉強を行う必要があります。
例えば数学が好きで、大学数学を何日もかけて勉強していても、
それは大学入試には出ません。だから点は取れません。
入試範囲外のこともどんどん勉強して大学入試にも合格するような人もいますが、それは当然入試対策もできているからで、そのような人は極めて稀です。
あなたには当てはまりません。

どれだけ上手に短時間で点数が取れるようになるか。
それが受験勉強において大事なことです。
だから優先順位を決め、時間をかけることを考えねばなりません。

時間

知的好奇心を満たすための勉強は、いくら時間を使っても構いません。
調べたり何か空想する時間は楽しいものです。
ちなみに最近の私の暇な時間に考える課題は、「現在の学校制度に代わる教育制度」です。
締切などありません。
一方で受験勉強というのは期限があります。
新高校3年生は、共通テストまで約43週間です。
そこまでに勉強をし終えないと、問題は解けません。
現実を書きますと、大半の高校生は試験範囲を十分勉強できずに本番を迎えます。
気づくのが遅いのです。
私も他の先生たちも多くの受験生を見ているので知っています。
そのことを受け入れた上で早く勉強を進めて欲しいと思います。