何のために予想するのか

公開日 2023/02/22

この時期になると、日本中の杉の木を伐採したくなる花粉症歴12年のタナカです。
花粉症ほど自分がならないと辛さがわからないものは少ないと思います。
鼻水が出る、目が痒くなる。
字面ではそんなにひどいものではなさそうに見えるところがポイントです。
症状のない方は、大したことないんじゃない?って感じに接すると恨まれるのでご注意ください。
この時期に受験っていうのも辛いですね。
受験生は耳鼻科に行って万全の対策で試験に臨んでください。

さて、国公立大学の前期試験が2/25ですが、
こういう試験前というのは様々な憶測が飛び交います。
3年連続で〇〇は出題されたから今年は出ない、△△が出るとか
問題を作成する教授が変わったから〇〇は出ない、とか。

予想してどうする?

サッカーの勝利チームを予想する。
いつ地震が起こるのかを予想する。
株価が上昇するか下落するか予想する。
いろいろな予想がありますね。
何のために予想しますか?
もちろんエンタメとして楽しみたいのであればそれで良いと思います。
しかし、勝つために予想をしているならば、
それではたまたま勝つことはあってもほとんどは負けるでしょう。

その予想は統計に基づいたものでしょうか。
サッカーとか野球とか、これまでのデータを用いてどちらのチームがどれほどの確率で勝つかを数字で表すことはできます。
ですがそういうのは統計を真剣に勉強した人か、企業が大量のデータを集めて分析してやっとできることです。
世の中の人の予想のほとんどは、「あてずっぽう」です。
そんなわれわれ素人が勝てるはずはありませんね。

テストでも同じで、
予想して当たるなんてまずないと思ってください。
つまり、〇〇が出るかもしれないからそこに山を張ろう、っていうのは間違っています。
自分から負けに行くようなものです。

予想とは、準備のために行うものです。
当てるためのものではありません。
「2023年の4月に人類が滅亡する」(?!)と予想するのなら、
地下シェルターを作るなり地球脱出を試みるなり(?!)用意をすれば良いのです。
「南海トラフ地震が起きる」と予想するのは、
非常食を用意したり避難経路を確認したり準備する時間を作るためです。
当たるか当たらないかはあまり重要ではありません。
未来のことなど誰もわからないからです。

試験でも一緒で、
例えば大学によって出る問題の種類は多少異なりますから、傾向を掴んで準備をします。
しかしそれは、最近あまり出ていない単元の勉強をしない理由にはなりませんね。
可能性が少しでもあるのならやるべきですし、そのような準備をした人が余裕を持って勝つことができます。
なぜなら、皆が面倒くさがるからです。
(もちろん戦略として勉強するものを絞ることも大事ではあります)

〇〇は3年連続で出題されているから今年は出されない、というのは、
サイコロで6が3連続で出たから次は6は出ない、
と言っているようなものです。

5000円と8時間

公開日 2023/02/15

年初に立てた目標ですが、とりあえず50m自由形と体重はクリアしました。
次は50m32秒を目標にし、体重はキープかもう少し増やしても良いかもしれません。
体脂肪率はあと2%下げるのが目標ですが、こっちはそんなに気にしないでおきます。

今年の8月に九州で世界マスターズ水泳選手権が行われます。
せっかく日本での開催なので出場したいですが、それには公認の大会で標準記録を上回る必要があります。
私の年代では50m自由形は30.10秒、バタフライは32.40秒。
あと1年早く生まれていればあと1秒猶予があるのに
バタフライの方が希望があるかもしれません。25秒で泳ぐ人がいる世界ですが。


模試の話をします。
高校生は、模試って一回いくら払って受検しているか知っているでしょうか。
安いもので3,000円、高いもので5,000円します。
そして、一回の模試を受けるのに使う時間はどれくらいでしょうか。
3年生が受ける共通テスト模試となると、
例えば理系だと5教科7科目で、国語80分、英語80+30分、数学70+60分、理科60+60分、地歴60分の
合計500分、8時間20分です。

5,000円と8時間かける価値のある模試の受け方ができていますか?

✅結果見るだけ→価値0円です。時間とお金をドブに捨てています。
✅課された訂正ノートを作るだけ→1円です。

宿題になったからとりあえず間違えた問題を解答解説を見ながらやり直す、
という生徒が最も多いのではないでしょうか。
それは、結果だけ見るのとほとんど変わらないと考えましょう。
「課された」というところが一つのポイントです。
自分の意志でやっているわけではないし、提出期限が定められているから、あまり意味のない訂正ノートになりがちです。結果、その問題を1ヶ月後にもう一度解こうとしても解けないのです。
やや強い言葉を使ってしまいましたが、
インパクトがある方が考えてもらえるのでこう書いています。

価値のある模試の受け方はたとえばこうです。

✅模試のために準備をする
全科目である必要はありません。
1科目でも、定期テストのように準備をしてから臨みましょう。

✅自己評価をする
数字で客観的データが得られるから苦手分析を行います。
また準備の段階で何が不足していたか、準備の量と質(勉強の量と質)がどうだったかなどを評価します。
自分で、というのが大事です。

✅訂正ノートは類題まで
出題された問題の類題まで解きましょう。
類題を探さねばなりませんが、その過程でどのような勉強をしていればその模試の問題が解けたのかを知ることができます。数学や理科はこれがやりやすいです。

ここまでやったら5,000円と8時間をかけた価値があるでしょう。
それをしないのであれば、
その8時間で時給1,000円のアルバイトをして家計を助けた方が良いですね。

この話は親子喧嘩のネタには使わないでくださいね。



点数を目標にしても良い?

公開日 2023/02/08

あと1週間ほどで中学も高校も学年末テストがはじまります。
生徒の皆さんは学習は進んでいるでしょうか。

Before everything else,
getting ready is the secret of success.

「成功の秘訣は、何よりもまず準備をすることだ。」

アメリカの自動車会社フォードを創業したヘンリー・フォードの言葉です。
これまでに、十分準備ができた、という状態でテストに臨んだことがあるでしょうか。
100%は難しいです。
しかし90%の準備はできると思います。
中学生なら95%できます。
1科目でもないのなら、まだまだ改善の余地があります。

テストとなると、結果、つまり点数に目が行きがちです。
そもそも点数は何のためにあるでしょうか?
「前回より5点上がった」とか
「10点下がったから子どもを怒る」
のようなことをしてしまっていないでしょうか。
非生産的です。

例えば、
前回のテスト→小学生レベルのテスト
今回のテスト→大学受験レベルのテスト
だったとして、
「30点下がった」と落ち込みますか。
いや点数が落ちるのは当たり前でしょ、って思いますよね。

しかしこれが2学期の期末テストと学年末テストになると、気づかずに下がった上がったと評価してしまうことがよくあるんです。
異なる問題のテスト間で点数の評価をしても意味がないということです。

テストの点数というのは、
そのテストの試験範囲の学力を客観的に判断する材料です。
テストを作成した先生側はどの生徒がどれほどの学力を持っているか比較しながら判断できます。
数値化した方が比較しやすいので点数を出します。
数値化しないと成績もつけにくいですからね。

平均点というのもあてになりません。
もし、クラスや学校といった小さい集団内でどれくらいの位置にいるのかが気になるのであれば、平均点は大事な指数になるでしょう。
しかしA中学とB中学で、テストの難易度がほとんど変わらないのに平均点が10点違ったら?
または平均点がほとんど同じだけれど、A中学の方が難しい試験だったとしたら?
気にしてもあまり意味はありませんね。

点数を目標にしても良いものもあります。
例えば漢字や単語の小テストなんかは、何が問題として出題されるかがほとんどわかります。
勉強した結果が直接反映されるので点数を目標にすることに意義があります。
また、入試で最終的におおよそ何点取れたら合格できるのかは知っておかねばなりません。
合否は点数のみで決まるからです。

それに対して定期テストや実力テストはあまり意味がありません。
点数を目標にするのではなく、
試験範囲の問題がどれだけ自力で解けるようになるかを目標にしましょう。
例えば、学校のワークが試験範囲になるのなら、
そこにある問題の何%を解けるようになるか目標を設定して勉強に取り掛かり、試験前に達成度をチェックすると良いですね。
そうすると、勉強の仕方が良かったのか悪かったのか自分で判断できます。
改善点を考えれば次のテストにつながります。
これがテストへの準備です。

私はいくら点数が低くても、準備の量が多ければ褒めて質を上げる方法を教えますし、いくら点数が高くても、準備をしていなければ評価はしません。

共通テスト総括

公開日 2023/02/01

今回は3回目となった共通テストについて、
ベネッセ・駿台のデータネットの集計結果を見ていきます。

平均点

文系5教科8科目900点満点の平均は前年比+22.4点の540.0点、
理系5教科7科目900点満点の平均は前年比+30.5点の554.3点でした。
昨年大幅難化した数学の点数が戻り、その影響が大きく平均点が上昇しました。

科目別に見ると
やはり数学の上昇率が大きいです。
長めの文章を読む必要のある問題もあったものの、しっかりと理解して誘導に乗れば解答していける問題でした。今後もこのくらいの難易度で作成されるのではないかと思います。

英語リーディングは今年も文章量が多く、総語数6000を超えています。
複数箇所を照らし合わせて答えを導く問題は定番化しています。
センター試験時代のように英文を読めたらほとんど答を出せるという問題ではありません。今後もこの傾向が続くでしょう。

他に注目すべきなのが理科(専門)です。
物理と生物の平均点差が20点を超えたため、今年も得点調整が行われる事態となりました。
令和5年度大学入学共通テスト(本試験) 理科2換算表
得点によっては生物は12点加算されましたが、公平な試験とは言い難いものです。
昨年につづき生物は難しい試験となってしまいましたが、これから理科を選択する高校生中学生は安易に物理を選択しないように。今後共通テストがどうなるかはわかりませんし、科目の特性上物理が合わない人もいます。

志望動向

国公立大学の志願者数は前年比101%とほぼ変わりません。
学部系統別に見ると、
語学系、国際学系は前年から減少、医学・薬学系が増加となっています。
2022年度の集計では語学・国際学系は前年(2021年)とほぼ変わらずでした。
現在の高校3年生は2020年4月入学で、得体の知れないコロナが日本でも広がりつつあった時期です。
2019年4月入学の代とこれほど差がつくとは、やはり社会情勢やメディアに強く影響を受けるものだと改めて実感しました。

これから受験に向かう高校生へ

言っておきたいのは、共通テストはとにかく
文章読解力と教養がないと突破しにくい
ということです。
共通テストの前身のセンター試験は、それ専用の対策をさほどしなくとも、普段の勉強で解けるようになるものでしたが、共通テストはそうではなく、しっかりと時間をかけて対策しないと高得点は望めないものになっています。また、学力テストでは簡単には測定できない力を必要としており、日頃何をし、何を考えて生活しているかで結果が変わるような試験であると個人的に思います。

高校生ができることは、
基礎的な学力を身につける努力をするのはもちろんのこと、
参加型の授業や課題研究等に積極的に、主体的に取り組むことです。
また、学校以外でも様々な経験を積み、広い視野を持つこと、要するに幅広い教養を身につけることが重要です。



書いていると、結局昔から変わらないのでは、という気がしてきましたが、
とにかくこのような格差固定を助長するような試験はあまり良くないのではとも思います。