公開日 2023/11/29
思考力、判断力、表現力
学習指導要領が改定されてから、この言葉を見る機会が増えました。
最新の学習指導要領改定の基本方針には、
「知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを重視する平成 20 年改訂の学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で, 知識の理解の質を更に高め,確かな学力を育成すること。」
とあります。
これからは知識偏重型教育では時代に取り残される。
変化の激しい時代に順応するためには詰め込みではなく、考える力を育てることが大切だ。
みたいなもっともらしいことを言う人も増えたと思います。
しかし私には、この「思考力・判断力・表現力」という言葉が一人歩きしてしまっているように見えます。
それだけが強調されているんです。
もう一度上の基本方針を読んでください。
知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを重視する
太字にした部分を忘れてはいませんか?
何も知らない人間が考えられるか
小学生が政治の問題点について議論できますか。
四則演算がままならないのに微分積分ができますか。
知識や技能がないのに思考し判断しそれを表現するなど不可能。
新しい言葉に惑わされて、大事なものをおろそかにしていませんか。
思考力うんぬんを身につけるということを免罪符にして、知識・技能を身につけることから逃げていませんか。
それでは浅い思考しかできません。
行儀良くできる。
漢字を書ける、読めるようになる。
計算がスムーズにできる。
これらが十分にできるようになってはじめて、
実践的な思考ができるようになります。
思考・判断・表現は高校卒業した後でも身につけられます。
なぜならこれらは「経験」も必要だからです。
知識・技能を早いうちに身につけることに越したことはありません。