模試のやり直しする?しない?

公開日 2024/10/16

高3は模擬試験ラッシュの季節です。
進研模試、全統模試、冠模試・・・
ただでさえやることが多いのに、毎週のように模試があったらそのやり直しで時間がなくなってしまう!
そういう高校生のために、やり直しをする基準を書きます。
何をして、何をしないか、取捨選択の話です。
参考にしてください。

自己採点の得点率

得点率が30%未満だった場合。
結論として、模試のやり直しよりも教科書などでの勉強に時間を使った方が有意義である可能性が高いです。

例えば、皆さんが東大模試を受けたとしましょう。
10%しか得点できなかったとします。(東大志望者でさえありえます)
やり直しには膨大な時間がかかることでしょう。
わからないことだらけですからね。
英語ならば、文章を読んでもほとんど単語がわからないとします。
やり直しは単語を調べることから始まりますが、それならば単語帳で勉強した方が効率は良いですね。

もちろん得点率30%未満はやり直ししてはならない、ということではありません。
模試を受ける目的にも拠ります。
これは取捨選択のための参考にし、各自で判断してください。

科目別ではなく単元別でも良い

例えば数学で、70%取れた分野もあれば20%のものもあったとします。
これで全体の得点率が30%であったとしても、やり直しをする分野、しない分野を分けたら良いです。
70%取れた分野は、やり直しの効果がとてもあります。だからやり直しをします。
一方で20%だった分野は、その問題をやり直すよりも教科書の復習をした方が良いでしょう。

「やった方が良いこと」は無限にある

英和辞典をまるまる1冊全て覚えることができれば、入試でわからない言葉が出てくることは99.99%ないでしょう。
しかし、入試までの時間は限られています。到底終わらないことは容易に想像できるでしょう。
つまり、やることだけでなく、やらないことも選択していかねばなりません。
模試のやり直しもそのうちの一つです。
模試を受検するかどうかも選べます。
目的がないのならば、模試を受ける価値は激減します。

とにかく、特に高3はこれから「捨てるべきもの」が出てくることを覚えておいてください。

数学はどう役に立つか

公開日 2024/10/09

子どもたちの、「なぜ勉強した方が良いのか?」という素朴な疑問に答えることも、我々の役目の一つであると考えます。
今回は、数学が将来どのように役立つのか考えてみましょう。

はっきり言ってしまうと、
将来仕事で三角関数とか微分積分を使う人は少数です。
(理系専門職はバリバリ使います。)
そういうのを聞くと勉強するメリットが感じられない人もいるかと思います。
だから一つ、数学を勉強しておくとものすごーーーーーーく力のつく、仕事に不可欠な能力を紹介します。

まず、問題に対する2つの解答AとBを見比べてください。

A

B

これは高1進研模試の過去問です。
A、Bともに同じ中身の解答を書いています。
何が違いますか?

Bの方は解答の丁寧さ、具体的には言葉での説明がきちんとされています。
一方Aは式の羅列で、数学の苦手な生徒、あるいはまあまあ計算が得意な生徒に見られます。
進研模試だと、Aのような解答でも満点をもらえてしまいます。
(あまりに説明が少ないので減点くらうかもしれません。)
しかし、大学入試は違います。
Aのような解答を書いていては、ほとんど点がもらえないと思っていてください。
そしてこれは数年後、数十年後に役に立たない勉強となるか、役に立つ勉強になるかの差になります。

説明する力

数学を学ぶことで得られるのは説明する力です。
算数は主に計算法を学ぶものですが、
数学は論理、つまりどのように説明するか、を学べる教科です。

解答は、「プレゼンテーション」です。
皆さんパワーポイントはご存知でしょうが、
自分が発表を受ける側であったとして、
小さい文字がびっしりと並んだスライドを見たいですか?
何のためのスライドなんだってなりませんか。
スライドは画像やアニメーション、グラフなど視覚的サポートにより聴衆へわかりやすく説明するためのツールです。見にくいスライドに意味はありませんね。

上のAの解答も本質は同じで、解答を読む人のことを考えられていません。
Bの解答のように、「自分がどのような道筋でその解答を導き出したか」に主眼を置いた解答を書く訓練をしましょう。

仕事を始めると、人に説明する機会がとても多くなります。
社会人必須スキルです。
中学生高校生には、そんな大事なことを勉強できる、という意識を持ってほしいと思います。

リバウンドを防げ

公開日 2024/10/02

勉強の成果が出るのには時間がかかります。
出題範囲の狭い小テストは、やった分結果がすぐに出ます。
一方模試や実力テストは、頑張った分の結果が出るのにしばらく時間がかかります。量をこなしていないと、なかなか目に見えて成果が出ません。
成果が目に見えないので、途中でやめてしまう人は案外多いです。
ダイエットや筋トレと同じ。
あと1ヶ月続けていたら成果が出るはずだったのに、やめるから0に戻ってしまうんです。

勉強は呼吸のように

ダイエットを失敗する人は、対症療法から入ります。
カロリーの低いものを食べる。むしろ食べない。
とりあえず運動してみる。
ネットで売っている怪しいサプリを飲む。

勉強では例えばこうです。
勉強法を検索する。
良い参考書探しをする。
「3ヶ月でMARCH合格」みたいな動画を観る。

目先はよくなる(気がする)のですが、すぐにリバウンドします。
根本的に解決するには、原因療法が必要です。
ダイエットならば、徐々に食習慣を変えていく。
勉強ならば、身の回りのもの、あらゆるものから学ぶ。

人間の体は、腸内細菌が欲しがるものを食べたくなると言われています。
高カロリーのものを習慣的に食べている人は、腸内細菌の好みがそれなので、その細菌が優勢である限り高カロリーの食生活が続きます。少しずつ腸内を変え、太りにくいものを好む細菌に入れ替えなくてはすぐに元通りです。

勉強も同様。
普段からものを考える習慣のない人が勉強が続くことはありません。
学校の勉強が特別なものなので、机に向かうのが一大イベントです。
毎日花火大会に行きたいですか?
私は勘弁です。

つまり、勉強は「いつの間にかやっているもの」になるのがベストです。

思考力をつけたいなら

公開日 2024/09/25

寒さ暑さも彼岸まで。
少し過ごしやすくなってきましたね。
受験生には普段から運動するように言っていますが、この気温ならば朝夕の散歩もしやすいのではないでしょうか。
特に、車やバスで学校へ通っている生徒は要注意です。

今回は思考力の話です。
思考力と言っても、主に2つに分類されます。
・速く、浅い思考
・遅く、深い思考
です。
もちろん、2つのうちどちらかではなくグラデーションがあり、速さと深さは完全従属でもありません。
しかしグラデーションまで考えてしまうと説明ができませんので、2つに分けて話します。

速度重視の思考

例えば、会話で使います。
ときどき返しの上手な人がいますよね。いわゆる頭の回転の速い人です。
共通テストで必要な力の一つです。
現在の共通テストは、特に国語・英語・数学は時間との勝負になっています。
英語は時間内に解き切る人は2割いないのではないでしょうか。
(すべて解答している人はもっと多いでしょうが、しっかり理解を伴って解答している人が2割もいないということです。)
深く考えるというよりも、どれだけ速く正確に答えられるかが勝負の鍵ということです。

思考のスピードを上げるには?

他人と関わることです。
1人でスピードを上げるのは限界があります。
私の体験としては、
大学生のときにファミレスでアルバイトしていました。
あるチェーン店なのですが、常に少ない人数で店を回す必要があり、そこですごく鍛えられました。
お客さんが少ない時も掃除や仕込みなどやることが決まっており、バイトの中にはサボってやらない人はいましたが、私は真面目なので時間内にすべてやり切ることを目標にしていました。
初めはポンコツでしたが、徐々に慣れていきました。
要は何か追い立てられるものがあるかどうかです。
都会の人がせっかちなのもそのためですね。

深度重視の思考

物事をより抽象的に捉えるのに必要な思考です。
例えばある問題を多角的に捉えて思考実験をしたり、哲学的な考えに耽るときの思考です。
こちらは学校のテスト、入試で測ることが難しいです。
(小論文なら少し測れそうです。)

深く思考するためには?

1人になることです。
物理的にも精神的にも孤独になることです。
じっくりと時間をかけて考えることは、人と一緒にいるとできません。
孤独の時間が長すぎて変な方向へ思考してしまうことには注意ですね。
人間ときにはバカになることも大事です。

どちらも大事

速い、深いに優劣はありません。
人によってどちらが得意かは違います。
ただ分かりやすいのは速さなので、速い方が評価されやすいです。
深い思考が得意な人は創作や研究系の仕事が良いと思います。
ただ、どちらの思考力も鍛えられますから諦める必要はないですね。


受験生よ、焦るな

公開日 2024/09/18

大学受験生は共通テスト模試がありましたね。
夏の成果が出た人も出なかった人も、しっかり模試を分析して本番までの計画を見直しましょう。
受けた後が一番大事。

本当に進歩していないの?

このブログを読んでいる生徒は、そろそろ点数だけ見て自己評価することをやめたでしょうか。
夏休み毎日10時間勉強してたのに、すぐに成果が出なかったと判断していませんか。

成果は、
自分がしてきたことを発揮できたか?
を軸に判断しましょう。

例えば夏の間は基礎基本を徹底することを目標として勉強していたら、
入試レベルのやや難しい問題への対応力は不十分です。
そのような問題が解けないのは当たり前のことですね。
それよりも自分がやってきた、公式を正しく使えるとか、英単語をちゃんと覚えているか、などを確認することが大切です。
もし、やったはずなのにできなかったことがあれば、
それは黄色信号です。
早急に対策しないと不合格一直線。

踏み締める

この時期になると、毎年急に焦り出す受験生が増えます。
これは仕方のないことです。
勉強すればするほど、自分の無知が分かってくる。
勉強すればするほど、やるべきことが膨大であることに気づいてくる。
つまり、それは進歩です。
心配無用。
逆に焦りが少しもない人は、
想像力不足、勉強不足であったり、自分にとって易しい目標しかない、ということです。

焦りは進歩ですが、気をつけるべきこともあります。
何か新しいことを始めようとしていませんか?
不安になり、
・勉強法の動画を見始める。
・計画にない新しい参考書を買う。
・クラスメイトが使っている教材が気になる。

この辺りは特に注意です。
不合格への第一歩。

ある1冊の問題集を完璧にできている人は、受験生の1割もいません。
ほとんどはやり残していることがあります。
何かしら忘れています。
特に数学なんかは、問題の解説を自分でできない段階で次々に別の問題集に取り組んでも、上がり幅はたかが知れています。
もちろん、完璧主義になるのは失敗の可能性を上げますが、
要するに着実に解ける問題を増やそうということです。
入試の鉄則は、
「みんなが解ける問題を落とさないこと」
ですからね。

なんか成績の上がっている友人なんかを見ると、
その人が使っている参考書に手を出したくなってしまうんですよね。
新しい問題集を見たら、そんなことはないのに成績が上がるような気がしてきてしまうんですよね。
こういうのは危険なサインです。
一度冷静になりましょう。


得点にこだわれ

公開日 2024/09/11

いつもは、
「点数ばかり見ずに中身を見ろ」
と指導している私ですが、
それは点数というわかりやすい、表層しか見えてない人への助言です。
受験というのは一発勝負であり、入試当日に定員の椅子に座れた人が合格します。
つまり、それまで毎日10時間勉強していても、当日点が取れなかったらそれまで。
入試は残酷なものです。

受験勉強というのは、
「いかにして入試で点を稼ぐか」
というゲームです。
これが分かっているようで分かっていない。
次のようなことを常々考えていませんか。

・どの参考書、問題集をやったら合格できるか。
・単語帳を何周やれば良いか。
・何時間勉強すべきか。
・長時間勉強するにはどうしたら良いか。
・短時間でも効率よく習得する方法はないか。

これらを考えることは、完全には間違っていません
間違ってはいないのですが、
力のベクトルがそちらの方を向きすぎていませんか?

別の言い方をすると、
勉強するための勉強をしていませんか?
ということです。

今日は何点上がった?

入試の準備のために使える時間は皆等しいです。
使える時間をできるだけ点数を上げることに使いたいです。
勉強法を模索するのは大事なことですが、

ということに気づきましょう。
勉強法や参考書に関する情報だけは豊富で、実力がついていない人はたくさんいます。
それは多数の「落ちる」人たちのやり方です。
「受かる」人はその時間に英単語をまた一つ憶えています。

勉強法を考える、または習ってから勉強を始めるのではなく、
勉強しながら少しずつ、効率の良い勉強法に変わっていく。
これが正しいやり方です。

他人はコントロールできない

公開日 2024/09/04

ネットを見ていたら
中3の子の実力テストの点数が赤点だったからスマホ禁止にした、
という趣旨の書き込みを見つけました。
残念ながら、その子が今後伸びる可能性は非常に低いです。
理由は

・依存(気味)のスマホを禁止にしたところで隠れて使う(本人の意思に関係なく)
・完全に使えない状態にしたとしても、他人からの強要であり自分の意志ではないので、受験後はすぐに元通りとなる

からです。
個人差はありますが、14、5歳というのは大人に片足を踏み入れ始めている年齢です。
自律・自立の精神を養っていく年齢です。
ここで大人が手を出しすぎると、何も自分で判断できなくなってしまいます。
支配されているから、自分の力では何もできない、と無意識に考えるようになります。
投票しても何も変わらないから選挙には行かない、と言う大人のようです。

もちろん、これは手を貸してはいけないということではありません。
まだ親の半分も生きていない子どもが何も知らないのは当然ですからね。
(中高生も、親が「親」の仕事をするのは初めての経験だということを知りましょう。)

自分しか変われない

小学生までならなんでも親の言うことを聞いていた、かもしれません。
しかし中学生になればそれは終わります。
もう親の思い通りにはならなくなります。
それからは大人と一緒です。
ある人の考えや行動を変えるということは、並大抵のエネルギーでは叶いません。
不可能だという前提に立った方が良いでしょう。
何せ他人なんですから。

このブログも、
いろいろな人の目に留まり、その人が考え方や行動を見直すきっかけ、参考になればと思い書き続けていますが、変わる人はほとんどいないと思っています。
1人でもいれば満足です。

他人を変えることは難しいですが、自分を変えることは容易です。
余裕を持って生きるコツの一つです。

8/29授業生徒の宿題

来週の授業時にチェックします。
印刷環境のない生徒は解答ややり直しをノートに書いたものだけで良いです。
もちろん木曜授業以外の生徒もダウンロードしてやってみてOK。

高2英語 18:10~
2024共通テストリーディング
80分間、時間を測って解答。
解答

高3数学 19:10~
2024長崎大数学
文系→大問1、2を解答。制限時間50分。
理系→大問3、4、6、7を解答。制限時間100分。
解答

高3英語 20:10~
2019年度センター試験英語筆記
すべて解答すること。制限時間80分。
解答

中学数学 21:10~
中3→長崎県模試数学(制限時間50分)
解答
中2→比例・反比例、1次関数(制限時間30分)
解答


※中3夏期講習の生徒は、別途指示されている宿題をしてください。

夏休みの振り返り

公開日 2024/08/28

8月が終わろうとしています。
受験生はどれほど勉強が進んだでしょうか。
大学受験生は、勉強中毒になったでしょうか。
勉強中毒とは、問題を解いていないと手足が震えてくる、数字を見た途端素因数分解してしまう、飛行機や電車内の英語アナウンスが流れ出すと臨戦体勢に入ってしまう、等々の症状の出る状態を言います。
受験生として一人前になった証です。

高校受験生は日曜日に模試を実施しました。
連続5時間の試験は学校でも経験したことがなかったと思いますが、
これを一度やっておくと、二日間「も」かけてやる入試が楽に感じることでしょう。

さて、学校によってはもう夏休みが終了しましたが、
せっかくなので振り返っておきましょう。

なぜ不規則になるのか?

休み明けの学校はつらい人も多いはず。
子どもだけでなく社会人にもよくあることで、月曜日が憂鬱、ブルーマンデーという言葉もありますね。
なぜつらいかというと、休日の行動が平日と違うからです。
7日に1回必ずそうなるって嫌じゃないですか?

1番の原因は起床時間。
起きる時間が1時間を超えてずれると、日中全ての行動時間が変わります。
特に起床時間、食事時間、就寝時間は一定にすべきです。
これらのリズムが崩れると、
勉強だけでなく、運動能力や精神状態、あらゆることのパフォーマンスが低下します。
テストで例えるなら、初めから10点以上のビハインドで臨むようなものです。
10点ビハインドでこの点数だから大丈夫、って自分を慰めますか?


生活が不規則になってしまうのには原因があります。
予定がないからです。
もし10点behindになりたくないのならば、
休日午前中に予定を作りましょう。
ヒトは時間に管理されています。
平日学校や仕事に時間通りに行けるのはそれが決まっているからです。
予定は何でも良いです。
すぐ破ってしまう人は、家族や友人など他人を巻き込むのが良いでしょう。
私の場合は午前中からプールへ行くと決めておくことで、起床後ダラダラしてしまうのを防いでいます。
今住んでいる場所も、プールへすぐに行けることを考慮して決めました。(もちろんそれ以外の理由もあります)遠いと面倒ですからね。
それくらい日々の行動を重視しています。

できることは増えた?

この夏の成果をはっきりと言えますか。
勉強初心者にありがちなのが、
「なんとなく進めていた」というもの。

大学受験生にはたまに話していますが、
勉強を進めていくにつれて、「やるべきこと」が見えるようになっていき、
焦りが出てきます。
焦るとどうなるか。
視野が狭くなります。
そして不安になり、とにかく「進めること」ばかりに気を取られるのです。
「復習」をしないと実力は上がらないのに・・・
これが空回りというものです。

それを防ぐために、
学習の記録をしたり、定期的に復習をして
できるようになったことを確認していくわけです。
そしたら不安とは無縁です。
逆に、これだけ自分はやったのだ、と自信がついていきます。


コミュ力とは

公開日 2024/08/21

コミュニケーション力が必要などと言われますが、
果たしてそれを理解している人はどれくらいいるのか?
「コミュニケーション力」という言葉自体曖昧なものなので、
私の解釈の仕方の一つとして書いておきます。

まず前提として理解しておかねばならないことは、
コミュニケーションとは自分と相手、2者以上で成り立つということです。

例えば授業において、
「pq=-1は必要条件でしかないので、十分性を確認しなければならない」
みたいな説明をしたとして、
いくら講師側の知識が豊富で物事を理解する力に長けていたとしても、
生徒側が「必要条件」などを理解していないとそれが伝わらないということです。

当たり前のことのようですが、コミュニケーション力が「個人の能力」として語られる場合が多く、双方向という前提が抜け落ちている場合があるので注意したいところです。

becauseの使い方

コミュニケーションの齟齬が起きる例を紹介します。
「英文において『because』を文頭で使ってはいけないのか?」
という問いについて。

webを検索すると、次のような回答が得られます。


Because Mary is often late for the class, I don’t like her.
のような英文はよろしくない。通例、
I don’t like Mary, because she is often late for the class.
のように後ろに置く。
becauseは相手にとって新情報が含まれるときに用い、英文では旧→新の順に書くので後ろにするのが普通。



これは一見何も問題のない回答のようですが、
質問の答えになっていない可能性があることがわかるでしょうか?

上記の質問は、
「Because she is often late for the class.」
という英文を書いてはダメなのか、という問いであるかもしれません。

これに対する回答は、
「Becauseは接続詞であるから、主節と合わせて使う必要がある。ただし、口語では問題ない。」
となります。
このように、
同じ質問でも、その文章だけでは質問者の意図が完全には伝わっていないことがよくあります。
ちなみにchatGPTに同じ質問をして返ってきた回答は次のとおりです。

ーーーーーーここからーーーーーー

「because」を文頭に置くこと自体は文法的には間違いではありませんが、特定の文脈で適切かどうかが問題になります。文頭に「because」を置くと、その後に続く文が原因や理由を説明する副詞節となります。そのため、通常は主節(メインの文)とともに使用されます

例えば、以下のような文は問題ありません:

  • “Because it was raining, we canceled the picnic.”

ここでは、「Because it was raining」が理由を示す副詞節で、「we canceled the picnic」が主節です。

しかし、「Because」で始まる文が単独で使われると、不完全な感じになり、文法的には不適切とされることがあります。

例えば、「Because I was tired.」という文だけでは、主節がないため不完全な文になります。この場合、「Because I was tired, I went to bed early.」のように続けるのが正しい使い方です。

したがって、文頭に置くことは可能ですが、主節と一緒に使うことが重要です。

ーーーーーーここまでーーーーーー

一つの例に過ぎませんが、
これが「通じていない」ということです。
どのようにしたら回避できるでしょうか?

質問者目線では、
できるだけ詳細に状況を伝えることです。
今回の例では「前提」が重要です。
「becauseを文頭で使う」というのが曖昧だから、回答者はまず頭に浮かんだ「新旧情報の話」をしてしまいます。
逆に回答者側にできることも、
まず前提を確認する、ということです。
どのような文でbecauseを使うのか、という点を質問者に問うのが先です。
大抵の場合、質問者はそもそもどのような前提での話なのかを理解していません。

つまりコミュニケーション力というのは、
相手の話の背景を探りながら、また知識量・経験量などを見積もった上で応答する力であり、
この力は相手にも求められる、ということです。
ゆえに、
相手に話が通じないと感じる場合、自分自身も力不足であるということです。