よいお年を

公開日 2023/12/27

今年最後の記事です。
我ながらよく書き続けたなと思います。
塾を開いて以来毎週更新を続け、記事の数は250を超えました。

初めたころは塾の紹介をしていこうかと考えていたのですが、続けていくうちに生徒や保護者の方々へ伝えたいことの方が主役になりました。今後も基本的には大学受験や高校受験(のみならず生きていく上)で役に立つであろう情報や考え方を発信していきたいと思います。
青二歳ではありますが、それでも34年間もがき続けて得た知見は必ずや皆様の人生に活かされるものであることを信じています。

大学受験生はいよいよ山場を迎えます。
長かった受験勉強は、残り2ヶ月です。
スパートをかけましょう。
これまでの積み重ねがあれば、1日12時間勉強なんて苦でもなんでもないでしょう。
むしろご褒美です。
最後に笑うのは、諦めの悪い者です。
他人にD判定とかE判定とか言われようが、根性で突き進んだ者です。
模試の点数なんて合否に全く関係ないんです。
試験本番で、合格点を取りさえすればよいだけです。
最後までブレることなく、全速前進。

これまで継続して勉強してきた生徒は、元旦くらいは休んでも良いと思います。
(休まなくても良いと思います)
受験勉強ばっかりで少し狭くなった視野を元に戻しましょう。
今世の中で何が起きているのか知るのもよし、漫画を読むのもよし。
そもそも勉強というのは広義で「日常」ですからね。
おせちやお雑煮でも食べてゆっくり過ごしましょう。

百ます計算の効果

公開日 2023/12/20

最近授業で百ます計算に取り組んでいます。
小学校でやったことのない生徒もいたので簡単に説明します。

画像の通り、10マス×10マス=100マスを埋めます。
一番左上ならば4+2を計算して6を入れるということです。
これを何秒で終わらせられるかを競います。
ちなみに塾では計算ミス1問につき記録に+3秒するというルールを設けています。

足し算だけでなく、四則演算すべてあります。
今週は2桁同士の足し算(67+58のような)をしていますが、皆苦戦していますね。

効用

意味がないと批判されることも多い100マス計算ですが、私は十分意味があると思います。
例えば、
集中力の向上
これは特に小さい子どもにとって有効な手段です。
計算自体は簡単でやることが明解、それに同級生と競うという要素がありますから一つのことに集中する訓練として適しています。

他には
基礎計算力の向上
当然と言えば当然ですが、繰り返し行うことで計算が速くなります。
正確には、一桁同士の足し算や掛け算の計算結果を覚えてしまうことで、桁が増えた時の計算スピードも上がるということですね。
どんなに桁が多くても、
83674847×12837739
のような計算でもやることは1桁同士の足し算掛け算しかありませんからね。

123×45を筆算で計算すると、
3×2=6回掛け算をし、
3回足し算をします。
9回計算するので、例えば1回の計算で1秒の差があれば、この1問を解くのに9秒の差が生まれます。
これはかなり大きな差です。

効用としてもう一つ重要なのが、
筆記スピードの向上
です。
百ます計算を早く終えるには速く書く必要があります。
速く書くには指先を素早く細かくコントロールせねばならないので、慣れていない子はかなり遅いです。
これは同じ時間でどれだけ問題を処理できるか、宿題を早くやり終えるか、などに関わる大事な要素の一つです。

研究

100ます計算を実施している理由の一つは私の研究です。
データが集まってきたら、計算速度と数学の成績の相関関係や、
模試の成績との相関関係などを調べていきたいと考えています。

また塾では100ます計算以外にも
・方程式3分間競走
・図形描画競走
など学習基礎力向上のための取り組みを考案中です。
楽しく勉強しましょう!

カンニングの責任は大人にある

公開日 2023/12/13

カンニング
[名](スル)《ずるい、の意》試験のとき、隠し持った参考書や他人の答案を見るなどの不正行為をすること。「—ペーパー」  goo辞書

一度は見聞きしたことがあると思います。
私は中学生の時にカンニングされた(されそうになった?)ことがあります。
定期試験の時に隣に座っていた男子生徒が明らかに不審な動きをしたので、
「見せてたまるか!」と、悟られないようできるだけ自然な動きで自分の答案用紙を隠しました。
当時はなんでそんな格好悪いことするかな、くらいにしか考えていませんでしたが、
いろいろな生徒を指導してきて一つわかったことがあります。
それは、
カンニングをする生徒は過程を重視していない、楽しめていない。
そしてその原因は、
結果にしか目を向けようとしない周囲の大人にある
ということです。


わかりやすい例で言えば、
テストが返却され、生徒がそれを親に見せた時。
「なんでこんな点数なの?!」
「もっと勉強しなさい!」
こういうのは最悪です。
そう言われて勉強する子どもはいません。
むしろもっとしたくなくなりますよね。
「せっかくがんばったのに・・・」

そして、その子どもはどのように考えるようになるかというと、
「点数が良ければ褒められる。点数が悪ければ怒られる。点数さえ良ければ怒られることはない。」
悪い意味での結果主義になってしまいます。
カンニングとは、大人の期待に応えようとした子どもの努力です。
悲しいことにそれもまた、否定されてしまいます。
「どうしてカンニングなんかしたの!」


結果なんて放っておいても誰かから評価されます。
いやでも評価されます。
試験勉強をがんばった。
数学は苦手だができるだけのことはやろうとした。
そういう過程を讃えられる、労えるのは、親をはじめとした周囲の大人だけです。

問題を作る側の立場になってみる

公開日 2023/12/06

選択肢から選んで答える問題ってありますよね。
「次の選択肢のうち適当なものを選んで記号で答えよ。」
という問題。
おそらく小中学生ならば、
記号書くだけだ、ラッキー!
なんて思うんですが、高校生、特に今共通テスト対策をしている受験生は気づいているでしょう。

選択問題の方が難しい!

作問

問題を作ったことはありますか?
問題をどのように作るのか知っていますか?
問題を作ったことがあれば、作問者が何を考えて選択肢を作るのかが見えてきます。
そして、その意図が分かれば選択問題を攻略しやすくなります。

例えば、次の二つの問題を比べてください。

問、次のうち世界で2番目に深い湖はどれか

A、カスピ海
B、タンガニーカ湖
C、グレートスレーブ湖
D、バイカル湖

問、次のうち世界で2番目に深い湖はどれか

A、エベレスト
B、富士山
C、マリアナ海溝
D、タンガニーカ湖


答えは分かりますね。
一つ目の問いは難しいですが、二つ目の問いはかなり簡単になったと思います。
つまり、二つ目のような問題の選択肢ではみんなわかっちゃうので、一つ目のような選択肢を作るわけです。

例えばこの問題を作る側の意図が、
「世界で2番目に深い湖を覚えているかどうか」
だったとします。
(それならば選択式ではなく記述式にすれば良いのですがそれは置いておいて)
作る側としては、覚えている生徒に正解してもらい、覚えていない生徒には間違えてほしいということです。
だから、間違うように仕向けます

A、カスピ海
B、タンガニーカ湖
C、グレートスレーブ湖
D、バイカル湖

Aは、中学生くらいならば4つの中で全員が一番聞いたことのある名前でしょう。
「一番広いから一番深いかもな」
と考える生徒に選ばせます。
また、(これは問題文が短いですが)あまり読まない生徒が
「世界で一番広い湖の問題だ」
と勝手に決めつけたときに選ばせる選択肢です。

Dは世界で最も深い湖なので、授業中などに耳にしたのをなんとなく覚えている生徒を引っ掛けるためです。

Cは「グレート」という言葉が入っているので、覚えていないが英語から推測するやや賢い生徒を引っ掛ける選択肢です。

このように、選択問題はありとあらゆるところに罠を仕掛けます。
国語の問題のような選択肢の長いものはこれよりも多く、「それっぽく」する技術が詰め込んであります。
だから難しくなるんですね。
もちろんこれはイジワルでもなんでもなく、選択問題作成の一般的なやり方です。
そうしないと湖の問題なのに「富士山」って選択肢になっちゃいますからね。

攻略(?)

ここで伝えたいのは、罠を見破ろうということだけではありません。
作問者と対話しよう、ということです。
ほとんどの問題は、生徒に解いてもらうために作ります。
しっかり勉強している生徒が解けるようになっています。
その問題が、何を生徒に問うているのか、がわかればほとんど解けたも同然ですし、作問側もそれを望んでいます。
相手の意図が取れるようになれ、ということです。

だから、人の立場になって考えられる人ほど、問題も解きやすくなります。