言霊を味方につけよう

公開日 2024/02/07

言葉というのはとても不思議な力を秘めています。

ほんの一言だけでも
ある人を元気づけたり、勇気を与えたり、
逆に悲しませたり、不機嫌にさせたり。

同じことを伝えようとしても、
「なんでそんなことするの?」と訊くのと
「そうした理由を教えてくれる?」と訊くのでは印象が違います。
もちろん人によっても受け取り方は違います。
私も生徒への言葉の掛け方には注意を払っていますが、
まだまだ力不足だと反省する日々です。

たかが言葉、されど言葉。

あなたの一言が、その人の人生を左右しているかもしれません。

言霊を敵に回してしまう人

普段使っている言葉を注意して聞いていると
その人がどのような環境で生活をしているかを知る大きな手がかりとなります。

常々書いている通り、人は環境によって行動の決まる生物ですので、その人の言葉は普段周りの人間が使っている言葉と似ていることが多いです。
そして、その言葉は未来の行動に大きな影響を及ぼします。
ヤンキー言葉を使っている人は行動がヤンキーみたいになっていきます。

何にでも言えます。
幼い頃から、「あなたは要領が悪い」
と言われて育った人は、そのまま要領が悪いままになってしまいます。
本人がそう思い込むわけです。
「自分はそういう人間だ。」と、無意識に刷り込まれます。

周りから「優しい子だね」
と言われ続けていると、本当に優しい子になります。
元々「優しい」のではなく、「自分は他人に対して優しい人間だ。」と無意識に思い込むから現実に優しい人間になるのです。

きっと身に覚えがあるはずです。

同様に、
良いペースで成績を上げてきていたのに、
入試本番で力を発揮できずに志望校を落とした生徒がいます。
1ランク上のA大学(本人が最も行きたい)を目指せるはずが、周囲から県内のB大学へ行けと言われ続け、それが現実になってしまったのです。

これが「言霊を敵に回した」結果です。


その影響力を知っているので、
普段の指導でも「言霊を味方につける」ことができるように振る舞っています。
来てくれるからには、生徒には挑戦する勇気を持ってほしいですし、将来活躍できる大人になってほしいと願うからです。
さらに、その元生徒たちが同じように勇気を与えられる指導者になってくれというのは少し欲張りでしょうか。

自称進学校だって?!

公開日 2024/01/31

「自称進学校」「自称進」

知らない方のために説明しておきます。
一般的には大学進学を目指す人のための高校を進学校と呼びますが、一部ネット上で、
「卒業生が大した大学へは進学していない高校」
「上記のようであるのに『すごい進学校』っぽさを出している高校」
というような意味で使われています。
その高校の生徒である人も、そうでない人も使っています。

「一部ネット上で」とは書きましたが、なんということでしょう。
現実世界でも使われていました。
これについて言いたいことがあります。

今すぐやめてほしい

このような言葉を使っているのなら、即刻やめましょう。
YouTubeやTiktokで自称進学校をネタにする人がいるのでその影響かなとも思いますが、
はっきり言うと恥ずかしいです。
特に自分で自分が通っている学校(または卒業した学校)のことをそう呼ぶのが恥ずかしいです。
そういう人の心理は99%、
「自分の実力のなさを学校のせいにしようとしている」
ですよね。

もちろん高校に全く非がない、ということはないと思います。
生徒の理解度を無視する授業スピードであったり、
課題が異常に多かったり、
拘束時間が長かったり。
それがなければもう少しランクの高い大学へ入れる(入れた)かもしれない。
そう思う気持ちもわかります。

しかし、そんなことばかり考える人にそもそも成長の余地はない。
高校へ入学する前に、いくらでも実態を調べられたはず。
課題が多かろうと、対処の仕方はいくらでもあるはず。
やろうと思えば、高校はやめることもできる。
通信制高校に入ることもできる。
法律で縛られているわけでもないので、環境は変えようと思えばいくらでも変えられる。

そんな行動力もなしに、「自称進」と口だけとは。

問題提起

上述したように、高校側にも問題点はあります。
少なくともネットでそのような意見が出るということは、それを解決する余地があります。
(もっと言うと、制度にも問題があるでしょう)
生徒側はほとんどが自分のための主張でしょうが、これを問題提起として捉えるとどう変えていくべきかが見えてくるのではないでしょうか。

他人から学ぶことの難しさ

公開日 2024/01/24

「まさか自分がそうなるとは思わなかった。」

一度は苦い思いをしたことがあるでしょう。
「まさか自分が騙されるとは思わなかった。」
「まさか自分がこんな災害に遭うとは思わなかった。」
「まさか自分が試験に落ちるとは思わなかった。」

人間誰しも、他人から見聞きしただけのことは「他人事」(ひとごと)です。
自分のこととは考えもしない。
自分の身に降りかかって初めて理解します。
嗚呼、こういうことだったのだな、と。
後悔するのです。

変えられるのは未来だけ。
過去を悔いても変わりません。
「他人事」だったことが起きてしまったら、今後同じようなことが起きたときにどのように対処するかを考えたら良いのです。
また不利益を被りたくはないですよね。
ならばまずは少なくとも、

「他人に起こったことは自分にも起こりうる。」

と胸に刻んでください。
それだけで解決するわけではありません。
解決するならば我々が習う歴史は全く違うものであるはずです。
また「まさか」を繰り返すことはほぼほぼ間違いありません。
しかし、少し「自分のことであると思う」だけでも回避できる失敗はいくらでもあるはず。

「自分も詐欺に遭うかもしれない。」
「いつ地震が来てもおかしくはない。」
「共通テストで数学Ⅰを解いてしまうかもしれない。」

悲観的になれと言うのではなく、
他人事だと考えるのをやめよ、ということです。
自分が経験できるのは一人分の人生だけなので、そこから学べるのは一人分だけ。
他人というのは70億とは言わずとも、周りの100人が経験したことから学べば、100倍の知見が得られるのです。
これが歴史を学ぶ意義の一つです。

中学生でも解ける(?)共通テスト

公開日 2024/01/17

共通テストお疲れ様でした。
1/16時点の各予備校の予想平均点は、全体としては昨年よりやや上昇しています。
主な要因として、国語が昨年比+10〜+12となる見込みです。
点数は上昇していますが、近年推薦入試が増えていること、下位層の受験者数が減っていることもあり、試験が易化したとは言い切れません。
特に国公立大志望の生徒は、共通テストが対策の時間がかかる試験だということを認識し、早めに手を打ちましょう。

早く対策しないと

どうなるか。
今回の数学ⅠAの問題の一部を解説します。
解答の仕方は画像にすべて書いています。

手順としては、
①開始時刻からの経過時間をtとおく。
②OP、PA、OQなどの長さをtで表し、△PBQの面積をtの関数と見る。
③グラフを描き、最大値と最小値、および面積が10以下となるtを算出する。
となります。

こう書くと簡単そうに見えるかもしれませんが、
この問題を解き切らなかった、または多くの時間を使ってしまった受験生は多いようです。
高校受験をした生徒は覚えているかもしれません。
この問題、非常によくある動点の問題で、ほんの少し高校生で習うことが入っているだけです。
上位の中学生なら完答が可能。

ではなぜ解けないか?
カンタンです。

図やグラフを書かないからです。

書かないことはないけれど、書くのが遅かったり情報量が少ない生徒も同様です。
上の解答では3つのグラフを書いていますが、三角形の図を計算を除いてそれぞれ10秒以内で書けますか?
そもそもすぐに書かない人が多いはず。
最も差がつくのはここです。
放物線のグラフも丁寧に描かない人が多いです。
ちょろっと曲線と軸を書いて終わり、みたいなのはダメ。

普段の勉強から、図やグラフを面倒くさがらずに書く練習を積み重ねているかどうかが勝負を分けます。
図やグラフを省略して描けるのは、そもそも丁寧なグラフも難なく描ける実力のある人です。
図やグラフを使うのは数学だけではありません。
広い意味で言えば、図やグラフというのは表現力の一部です。

早く対策しよう、というのは、
普段から練習を積み重ねておかないと、太刀打ちできない問題が多いですよ、ということです。
私が口を酸っぱくする理由を少しでも理解していただけると幸いです。

↓これはダウンロードできるようにしています。生徒は自由に使ってください。

はじめての大勝負

公開日 2024/01/10

今週末はいよいよ共通テストです。
受験生は最後の調整ですね。
スポーツの世界では大事な試合に自分の調子を合わせることをピーキングと言います。
例えばその試合の1週間前からハードな練習をせずに、当日に最高のパフォーマンスができるよう疲労を回復させたりします。
入試に関しても同じことが言えるのではないでしょうか。

すなわち、これから共通テストまでの数日間は、自分を追い込むような勉強をしない、ということです。
追い込む勉強とは、睡眠時間を削って勉強したり、過去問や予想問題などを1日で1年分全教科解くなどを指します。

ピーキング

全く何もしないというのはよろしくありません。
ジョギング、ウォーキング程度に勉強をしておくのが良いでしょう。
いくつか例を紹介します。

✅1日1個長文を読む
読む力、読むスピードはすぐに落ちてしまうものです。
私のような活字中毒の人以外は、意識しないと文章を読むことが極端に減ります。
1日1つで良いので、現代文や英文を読みましょう。
だらだら読んでしまう人は問題も解きましょう。

✅計算練習
展開、因数分解、方程式など単純計算問題。
これは特に試験前日、休み時間におすすめです。
公式集は直前に見てもほとんど意味はありません。

✅今しか必要のない古文や化学の知識
私立大学の入試や国公立大個別試験には必要のない科目の暗記ものを詰め込んでおきます。
(これは苦肉の策なので高2以下は真似をしないように)

絶対にこれをやれ、というものではありませんが、
何をするか迷った生徒はやってみましょう。

また試験は体力勝負でもあります。
これまで頑張ってきた生徒は目に見えない疲れが溜まっているので、睡眠時間は優先確保しましょう。
食事も重要です。脂っこいものなど消化に悪いものは控えめにし、毎日同じ時間に食べましょう。

過去に書いた記事も参考にしてください↓
休み時間をどう過ごす?
入試前日、当日に気をつけること

試験中に焦ってしまった時は、今まで習ってきた先生や私の言葉を思い出してください。
机の上でミニ先生が見守っていますよ。

新しいことをはじめよう

公開日 2024/01/03

あけましておめでとうございます。
今年もタナカ塾とこのブログをよろしくお願いいたします。

冬期講習と施設の休館で10日くらい泳げていないので少し体が鈍っています。
続けていたものをやめるのは良くないです。
休むのは大事ですが、休みすぎるとかえって復帰する時に疲れてしまいます。
少しでも継続することが重要ですね。

チャンス

新年は、何か新しいことに挑戦するのに適した時期です。
興味があるものならば何でも良いので、一つだけでも目標を立てましょう。
塾講師目線で書くとすれば、
高校2年生にはぜひ受験勉強を始めてもらいたいものです。

受験勉強とは何かを確認しておくと、
大学合格のための勉強です。
当然のことのようですが、これを意識せずに勉強を進めてしまう高校生がほとんどです。
定期試験前はみな勉強しますが、それとは違うことをひとつ挙げます。
定期試験のための勉強というのは、正確には定期試験「だけ」のための勉強です。
試験1週間前からという短期間で詰め込み、試験後にさっぱり忘れてしまう勉強です。
同じことをやっていては大学入試には通用しません。
これの繰り返しから脱却しましょう。

大学合格のための勉強では、短期間でとにかく覚えたら良いものではなく、
じっくり時間をかけて点と点を結んでいくことが重要です。
言い方を変えると、自分で説明できるようになることです。
自分で説明できる=理解しているので、長期間忘れることはありません。
これをどれだけ蓄積していけるかが勝負の分かれ目です。

なぜ今からか

よく塾生に言うこと(かつなかなか理解してもらえないこと)は、
受験は高3の夏手前までが一つの勝負だということです。
夏以降はほぼ全員部活を引退して勉強に専念してくるので他人との差がつきにくくなります。
一方夏手前までは受験勉強一本という生徒は少ないので、成績を上げやすい時期です。
(同じ理由で高1、高2は必要な勉強をすれば成績を上げやすいです)
だから、高2生のこの冬の成績と取り組みの様子で1年後の結果はかなり正確に見えています
難関に合格した生徒は、この時期どのような状態だったかというと、
国英数は中学レベルにほとんど抜け漏れがなく、高校の範囲は定期テストレベルが体感70%ほどクリアできていました。

推薦入試が増えてきていますが、学力試験で突破する一般入試はいずれ「一般」ではなくなり価値が高くなります。今の自分より上を目指してみてはいかがでしょうか。

よいお年を

公開日 2023/12/27

今年最後の記事です。
我ながらよく書き続けたなと思います。
塾を開いて以来毎週更新を続け、記事の数は250を超えました。

初めたころは塾の紹介をしていこうかと考えていたのですが、続けていくうちに生徒や保護者の方々へ伝えたいことの方が主役になりました。今後も基本的には大学受験や高校受験(のみならず生きていく上)で役に立つであろう情報や考え方を発信していきたいと思います。
青二歳ではありますが、それでも34年間もがき続けて得た知見は必ずや皆様の人生に活かされるものであることを信じています。

大学受験生はいよいよ山場を迎えます。
長かった受験勉強は、残り2ヶ月です。
スパートをかけましょう。
これまでの積み重ねがあれば、1日12時間勉強なんて苦でもなんでもないでしょう。
むしろご褒美です。
最後に笑うのは、諦めの悪い者です。
他人にD判定とかE判定とか言われようが、根性で突き進んだ者です。
模試の点数なんて合否に全く関係ないんです。
試験本番で、合格点を取りさえすればよいだけです。
最後までブレることなく、全速前進。

これまで継続して勉強してきた生徒は、元旦くらいは休んでも良いと思います。
(休まなくても良いと思います)
受験勉強ばっかりで少し狭くなった視野を元に戻しましょう。
今世の中で何が起きているのか知るのもよし、漫画を読むのもよし。
そもそも勉強というのは広義で「日常」ですからね。
おせちやお雑煮でも食べてゆっくり過ごしましょう。

百ます計算の効果

公開日 2023/12/20

最近授業で百ます計算に取り組んでいます。
小学校でやったことのない生徒もいたので簡単に説明します。

画像の通り、10マス×10マス=100マスを埋めます。
一番左上ならば4+2を計算して6を入れるということです。
これを何秒で終わらせられるかを競います。
ちなみに塾では計算ミス1問につき記録に+3秒するというルールを設けています。

足し算だけでなく、四則演算すべてあります。
今週は2桁同士の足し算(67+58のような)をしていますが、皆苦戦していますね。

効用

意味がないと批判されることも多い100マス計算ですが、私は十分意味があると思います。
例えば、
集中力の向上
これは特に小さい子どもにとって有効な手段です。
計算自体は簡単でやることが明解、それに同級生と競うという要素がありますから一つのことに集中する訓練として適しています。

他には
基礎計算力の向上
当然と言えば当然ですが、繰り返し行うことで計算が速くなります。
正確には、一桁同士の足し算や掛け算の計算結果を覚えてしまうことで、桁が増えた時の計算スピードも上がるということですね。
どんなに桁が多くても、
83674847×12837739
のような計算でもやることは1桁同士の足し算掛け算しかありませんからね。

123×45を筆算で計算すると、
3×2=6回掛け算をし、
3回足し算をします。
9回計算するので、例えば1回の計算で1秒の差があれば、この1問を解くのに9秒の差が生まれます。
これはかなり大きな差です。

効用としてもう一つ重要なのが、
筆記スピードの向上
です。
百ます計算を早く終えるには速く書く必要があります。
速く書くには指先を素早く細かくコントロールせねばならないので、慣れていない子はかなり遅いです。
これは同じ時間でどれだけ問題を処理できるか、宿題を早くやり終えるか、などに関わる大事な要素の一つです。

研究

100ます計算を実施している理由の一つは私の研究です。
データが集まってきたら、計算速度と数学の成績の相関関係や、
模試の成績との相関関係などを調べていきたいと考えています。

また塾では100ます計算以外にも
・方程式3分間競走
・図形描画競走
など学習基礎力向上のための取り組みを考案中です。
楽しく勉強しましょう!

カンニングの責任は大人にある

公開日 2023/12/13

カンニング
[名](スル)《ずるい、の意》試験のとき、隠し持った参考書や他人の答案を見るなどの不正行為をすること。「—ペーパー」  goo辞書

一度は見聞きしたことがあると思います。
私は中学生の時にカンニングされた(されそうになった?)ことがあります。
定期試験の時に隣に座っていた男子生徒が明らかに不審な動きをしたので、
「見せてたまるか!」と、悟られないようできるだけ自然な動きで自分の答案用紙を隠しました。
当時はなんでそんな格好悪いことするかな、くらいにしか考えていませんでしたが、
いろいろな生徒を指導してきて一つわかったことがあります。
それは、
カンニングをする生徒は過程を重視していない、楽しめていない。
そしてその原因は、
結果にしか目を向けようとしない周囲の大人にある
ということです。


わかりやすい例で言えば、
テストが返却され、生徒がそれを親に見せた時。
「なんでこんな点数なの?!」
「もっと勉強しなさい!」
こういうのは最悪です。
そう言われて勉強する子どもはいません。
むしろもっとしたくなくなりますよね。
「せっかくがんばったのに・・・」

そして、その子どもはどのように考えるようになるかというと、
「点数が良ければ褒められる。点数が悪ければ怒られる。点数さえ良ければ怒られることはない。」
悪い意味での結果主義になってしまいます。
カンニングとは、大人の期待に応えようとした子どもの努力です。
悲しいことにそれもまた、否定されてしまいます。
「どうしてカンニングなんかしたの!」


結果なんて放っておいても誰かから評価されます。
いやでも評価されます。
試験勉強をがんばった。
数学は苦手だができるだけのことはやろうとした。
そういう過程を讃えられる、労えるのは、親をはじめとした周囲の大人だけです。

問題を作る側の立場になってみる

公開日 2023/12/06

選択肢から選んで答える問題ってありますよね。
「次の選択肢のうち適当なものを選んで記号で答えよ。」
という問題。
おそらく小中学生ならば、
記号書くだけだ、ラッキー!
なんて思うんですが、高校生、特に今共通テスト対策をしている受験生は気づいているでしょう。

選択問題の方が難しい!

作問

問題を作ったことはありますか?
問題をどのように作るのか知っていますか?
問題を作ったことがあれば、作問者が何を考えて選択肢を作るのかが見えてきます。
そして、その意図が分かれば選択問題を攻略しやすくなります。

例えば、次の二つの問題を比べてください。

問、次のうち世界で2番目に深い湖はどれか

A、カスピ海
B、タンガニーカ湖
C、グレートスレーブ湖
D、バイカル湖

問、次のうち世界で2番目に深い湖はどれか

A、エベレスト
B、富士山
C、マリアナ海溝
D、タンガニーカ湖


答えは分かりますね。
一つ目の問いは難しいですが、二つ目の問いはかなり簡単になったと思います。
つまり、二つ目のような問題の選択肢ではみんなわかっちゃうので、一つ目のような選択肢を作るわけです。

例えばこの問題を作る側の意図が、
「世界で2番目に深い湖を覚えているかどうか」
だったとします。
(それならば選択式ではなく記述式にすれば良いのですがそれは置いておいて)
作る側としては、覚えている生徒に正解してもらい、覚えていない生徒には間違えてほしいということです。
だから、間違うように仕向けます

A、カスピ海
B、タンガニーカ湖
C、グレートスレーブ湖
D、バイカル湖

Aは、中学生くらいならば4つの中で全員が一番聞いたことのある名前でしょう。
「一番広いから一番深いかもな」
と考える生徒に選ばせます。
また、(これは問題文が短いですが)あまり読まない生徒が
「世界で一番広い湖の問題だ」
と勝手に決めつけたときに選ばせる選択肢です。

Dは世界で最も深い湖なので、授業中などに耳にしたのをなんとなく覚えている生徒を引っ掛けるためです。

Cは「グレート」という言葉が入っているので、覚えていないが英語から推測するやや賢い生徒を引っ掛ける選択肢です。

このように、選択問題はありとあらゆるところに罠を仕掛けます。
国語の問題のような選択肢の長いものはこれよりも多く、「それっぽく」する技術が詰め込んであります。
だから難しくなるんですね。
もちろんこれはイジワルでもなんでもなく、選択問題作成の一般的なやり方です。
そうしないと湖の問題なのに「富士山」って選択肢になっちゃいますからね。

攻略(?)

ここで伝えたいのは、罠を見破ろうということだけではありません。
作問者と対話しよう、ということです。
ほとんどの問題は、生徒に解いてもらうために作ります。
しっかり勉強している生徒が解けるようになっています。
その問題が、何を生徒に問うているのか、がわかればほとんど解けたも同然ですし、作問側もそれを望んでいます。
相手の意図が取れるようになれ、ということです。

だから、人の立場になって考えられる人ほど、問題も解きやすくなります。